セッション情報 ワークショップ6

未分化型早期胃癌の診断とESDの適応

タイトル W6-6:

ESD適応となる未分化型早期胃癌の拾い上げ診断

演者 阪本 康夫(阪本胃腸・外科クリニック)
共同演者
抄録 【目的】内視鏡の高画質化が実現された今日においても,2cm以下Ul(-)未分化型早期胃癌(以下当該病変と記す)の発見は困難である.2000~2011年に行った約18,900件上部消化管内視鏡検査で発見した胃癌225例のうち当該病変7例,僅かなサイズ超過1例及び未分化型由来混合型2例の計10例につき,その特徴を分析することで,当該病変の拾い上げに適した観察法を提示する.【方法】10病変(5~22mm平均11mm)について通常光観察での形態的特徴(色調,陥凹面,境界,辺縁),随伴所見(発赤,びらん,出血,小隆起)の有無,色素検査,NBI観察(非拡大)につき検討した.【結果】発生部位は胃体部5例,胃角部5例,大弯7例,後壁3例であった.随伴所見を伴うものは2例(2/10)にすぎず,ほとんど(8/10)が色調の変化(孤立性褪色面)として発見された.褪色面の性状は,褪色は淡く不明瞭(7/10)で,陥凹はごく軽微(6/10)か認識できない(3/10).境界は蚕食像を示すことは少なく,不明瞭なことが多い(6/8).辺縁に褪色の淡い染み出し(毛羽立ち)所見を認める(4/7)ことがあり,粘膜内での側方浸潤と考えられる.色素検査では褪色面は顆粒状を示すことが多く(8/10)病変が明瞭となる.非拡大NBI観察では正常粘膜の残存の多寡により褐色調~白色調を呈する.このように色調の変化以外に特徴的な所見に乏しい当該病変の特性を踏まえると,拾い上げのためには従来以上に胃底腺領域の丹念な観察が要求される.体部見下ろし観察において,全周を概観する観察法では大弯側は不十分であり,体上部から胃角部までの大弯側をやや近接した視野で連続性に見下ろしていく観察法が適する.観察時間は1検査に,8~10分は必要であり,sedationの有用性は高い.【結論】発見し得た当該病変の多くは蚕食像に代表される典型的llc像に至る前の段階の病変であり,色調の変化が主な変化である.すべてを発見できる訳ではないが,孤立性褪色面に着目した丹念な観察により拾い上げできるケースも少なからずあり,その存在を念頭においた検査が何より重要である.
索引用語