セッション情報 |
ワークショップ6
未分化型早期胃癌の診断とESDの適応
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タイトル |
W6-7:10 mm以下の未分化型粘膜内胃癌の内視鏡診断
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演者 |
八坂 太親(福岡大学筑紫病院消化器内科) |
共同演者 |
八尾 建史(福岡大学筑紫病院内視鏡部), 岩下 明徳(福岡大学筑紫病院病理部) |
抄録 |
背景:潰瘍を合併しない2cm以下の未分化型粘膜内胃癌は,ESDの適応拡大病変であるが,内視鏡による発見が困難な病変でもある.当施設では初期内視鏡研修から拡大内視鏡を含む胃癌の微細診断を行っている.その結果,研修開始後短期間に効率よく小さな未分化型粘膜内胃癌を発見した内視鏡医が現れた.本内視鏡医の経験を振り返り,診断過程の実際を検討した.方法:内視鏡医1名が内視鏡をはじめてから3年2ヶ月間に施行した連続したスクリーニング上部消化管内視鏡の記録を対象とした.新たに発見された粘膜内未分化型癌の病変数・内視鏡的特徴を求め,一定の診断過程があるか否かを分析した.成績:本内視鏡医が施行したスクリーニング内視鏡検査は630人であった.そのうち10人の患者から11病変の胃癌を発見し診断した.11病変の内,未分化型早期胃癌は,3人の患者から発見された4病変であった.病変の平均径(範囲)は,5.5 mm(2-10 mm)であった.病変の色調は,すべて褪色調,肉眼型は,0-IIc型3病変,0-IIb型1病変であった.病変の背景粘膜は,萎縮がごく軽度のHelicobacter pylori(HP)感染胃粘膜,鳥肌胃炎,あるいはHP非感染正常粘膜であった.病変の存在部位は,すべて腺境界部であった.本内視鏡医の診断過程について詳細に振り返ると,まず内視鏡を胃内に挿入後に,一定の手順で観察を開始すると同時に背景粘膜の萎縮の有無と程度を判定し,萎縮がないか軽微な場合は,腺境界部のわずかな褪色粘膜を探していることが明らかになった.また,発見された2病変についてnarrow-band imaging併用胃拡大内視鏡観察を行ったが,胃癌と診断するには至らなかった.結語:小さな未分化型粘膜内胃癌を内視鏡で効率よく発見するためには,通常内視鏡観察により,まず背景粘膜の特徴を把握し,次に,非萎縮粘膜や鳥肌胃炎の腺境界部に褪色調粘膜を探すという方法が重要な診断過程であった. |
索引用語 |
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