セッション情報 ワークショップ6

未分化型早期胃癌の診断とESDの適応

タイトル W6-8:

NBI併用拡大観察による早期胃癌組織型診断のスコアリングシステム

演者 辻 重継(石川県立中央病院消化器内科)
共同演者 金子 佳史(三ヶ根クリニック), 土山 寿志(石川県立中央病院消化器内科)
抄録 【目的】術前に組織型を正確に診断するため生検診断は必要不可欠だが,特に分化型と未分化型が混在する例も存在し,生検標本のみでの優勢像の判断は困難である.更なる診断率の向上のため,NBI併用拡大での観察所見をもとにスコアリングシステムを作成し,胃癌組織型診断における有用性を検討する.【方法】2007年5月から2010年8月までにESDあるいは外科的切除を行い,病理学的検索が可能であった深達度M,SM1の早期胃癌233病変において,NBI併用拡大観察から得られた微小血管構築像と表面微細構造の形態所見をretrospectiveに列挙し,術後病理診断により分化型と未分化型の2群に分けて比較検討した.有意差のあった所見をもとにスコアリングシステムを作成し,2010年12月から2012年8月までに病理学的検索が可能であった早期胃癌248病変を対象に,そのスコアリングシステムをprospectiveに検討した.【結果】早期胃癌233病変(術後病理:分化型211,未分化型22)であり,2群間でネットワーク形成を有する血管(81%/9%),分枝状の血管(96%/68%),微小血管が視認できない疎な領域(19%/68%),表面微細構造の有無(92%/73%),円形の腺窩辺縁上皮(MCE)(62%/14%),細長い楕円形のMCE(20%/0%),融合・肥大した窩間部(22%/64%)が有意差を認めた.多変量解析で有意な独立した因子であったネットワーク形成,疎な領域,円形のMCEの有無を2点,それ以外の所見の有無を1点として合計点数を算出した.ROC曲線およびYouden indexよりカットオフ値は5点であり,5点以上で未分化型を正診とすると,感度90.9%,特異度87.2%であった.このスコアリングシステムを早期胃癌238病変(分化型205,未分化型33)に用いた結果,感度84.8%,特異度65.4%であった.術後病理が混在型29病変(分化型優位21,未分化型優位8)における感度87.5%,特異度47.6%であった.【結論】本検討で用いたスコアリングシステムは,未分化型を含む混在型の病変に対するESDの適応を判断するうえで,その一助になる可能性がある.
索引用語