セッション情報 ワークショップ6

未分化型早期胃癌の診断とESDの適応

タイトル W6-9:

未分化型胃癌のNBI併用拡大内視鏡所見

演者 和田 正浩(高崎PET総合画像診断センター内視鏡内科)
共同演者 岸 遂忠(真木病院消化器内科), 藤田 欣一(真木病院外科)
抄録 【目的】未分化型胃癌のNBI併用拡大内視鏡所見(NBIME)を解明する.【方法】2006年12月~2012年3月に,NBIMEと病理所見を精密に対比した32例57所見を対象とした.NBIMEの血管像と腺管像は順に,以下の4群に分類した.Type I:腺管内血管の蛇行;拡張,Type II:直線状延長;不明瞭,Type III:不規則;不明瞭,Type IV:不規則;消失.各所見別に,retrospectiveに以下の検討を行った.検討1)内視鏡的肉眼型.検討2)癌と癌周囲非腫瘍部(NO)の各々で,隣接する非腫瘍腺管腺開口部間距離(CO)と粘膜高(HT:表面上皮から粘膜筋板上端)を組織学的に10カ所ずつ無作為に計測し,統計学的にp<0.01を有意差ありとした.【成績】所見数は,Iが11,IIが19,IIIが10,IVが17であった.検討1)IはIIb;100%(11/11),IIはIIb;52.6%(10/19)でIIc;47.4%(9/19),IIIはIIc;100%(10/10),IVはIIc;100%(17/17)であった.検討2)HTは,Iの0%(0/11),IIの47.4%(9/19),IIIの100%(10/10),IVの100%(17/17)で,癌部ではNOより有意に低下していた.検討1)でIIbに分類された全例(n=21)で,有意なHT低下を認めなかった.COはI;219±110μm,II;431±266μm,III;507±308μmで,IVでは非腫瘍腺管の残存をほぼ認めず計測不能であった.癌部のCOはNOに比べ,Iで1.87倍,IIで3.19倍,IIIで4.02倍に延長していた.【結論】Type Iにおける腺管拡張は,癌浸潤に伴い約1/2の非腫瘍腺管が破壊されているためで,腺管内血管の蛇行は,腺管内の粘膜固有層拡大に伴う変化と考えた.Type II・IIIにおける腺管不明瞭化は,約2/3~3/4の非腫瘍腺管破壊に由来し,粘膜固有層の大幅な構造変化が血管像の異型亢進と関連していると思われた.Type Iと52.6%のType IIはIIbのNBIMEと考えた.IIcの多くではType III・IVを認めた.
索引用語