セッション情報 ワークショップ6

未分化型早期胃癌の診断とESDの適応

タイトル W6-13:

残胃に発生した未分化型早期胃癌についての臨床病理学的検討

演者 田中 努(愛知県がんセンター中央病院内視鏡部)
共同演者 田近 正洋(愛知県がんセンター中央病院内視鏡部), 丹羽 康正(愛知県がんセンター中央病院内視鏡部)
抄録 【目的】潰瘍瘢痕(UL)のない20mm以下の未分化型早期胃癌に対する内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)は,現ガイドラインにおいて適応拡大の余地ありとされる.残胃に発生した未分化型早期胃癌は外科的な根治治療が残胃全摘となるため,より低侵襲なESDは有効な選択肢となりうる.これまで十分に検討されていない残胃発生の未分化型早期胃癌について臨床病理学的検討を行い,現ガイドラインとの適合性を考える.
【方法】2005年1月から2012年8月までに当施設において治療された未分化型早期胃癌のうち残胃に発生した15例15病変(11症例:残胃全摘,4症例:ESD)を対象とし,患者背景,肉眼型,深達度,組織型,腫瘍長径,UL,脈管侵襲について検討した.
【結果】残胃癌診断の平均年齢は63歳(32-82歳)であり,男性10例,女性5例であった.全例とも胃癌術後症例であり,胃切除手術から残胃癌治療までの期間は中央値50ヵ月(14-315ヵ月)であった.前病変の病期はstageIA:12例,stageIIA:2例,stageIIIA:1例であった.残胃癌の平均腫瘍長径は20mm(6-45mm),肉眼型は0IIc:13例,0IIc+III:1例,0IIa+IIc:1例,主な組織型はpor1:1例,por2:8例,sig:6例であった.残胃全摘例にリンパ節転移は認めなかった.粘膜内病変の9例には脈管侵襲を認めず,うち6例は20mm以下でUL(-),1例は20mm以下でUL(+),2例は20mm以上(28mmと38mm)でUL(-)であった.一方,粘膜下層病変6例はすべて脈管侵襲(+)であった.
【結論】残胃に発生した未分化型早期胃癌においても,粘膜内病変で20mm以下かつUL(-)に対するESDの適応拡大は可能と考えられた.また,残胃癌であることから粘膜内病変で20mm以上またはUL(+)における適応も今後の検討課題と考えられた.
索引用語