セッション情報 ワークショップ7

大腸腫瘍に対するESDの課題と今後の展開

タイトル W7-1:

大腸ESDとEMRの治療成績と適切な棲み分け

演者 笹島 圭太(さいたま赤十字病院消化器内科)
共同演者 鎮西 亮(さいたま赤十字病院消化器内科), 高橋 正憲(さいたま赤十字病院消化器内科)
抄録 目的:ESDとEMRの成績を比較することによりESD適応の妥当性を検証する.対象:2007.6~2012.3までのESD施行200病変とEMR/EPMR施行592病変.ESD絶対適応:20mm以上の肉眼形態LST-NG,LST-G(mix),VI軽度不整.相対適応:超多分割が想定されるLST-G(homo),大型の隆起性病変.EMR/EPMR適応:ESD適応とならない平坦あるいは隆起性病変(比較のため10mm以上を対象とした).結果:ESD群は,局在:直腸63左側結腸53右側結腸84.肉眼形態:LST-NG88,LST-G(mix)62,LST-G(homo)9,隆起型28,陥凹型13.Pit pattern:VI軽度154,VI高度15,IV 27,IIIs 4平均術時間83.5分,平均腫瘍径:33.1mm.一括切除率97.0%,完全一括切除率96.0%,遺残再発0.5%.最終病理診断:M癌127,SM浅層癌38,SM深部浸潤癌17,adenoma18.偶発症:穿孔は0.5%,後出血1.5%.EMR/EPMR群は,局在:直腸39左側結腸241右側結腸209.肉眼形態:LST-NG185,LST-G(mix)10,LST-G(homo)51,隆起型335,陥凹型11.Pit pattern:VI軽度149,VI高度19,IV 184,IIIs 16,IIIL 223.平均腫瘍径15.7mm.遺残再発0.5%でうち1例は再再発で手術を要した.最終病理診断:M癌183,SM浅層癌21,SM深部浸潤癌20,adenoma 368.偶発症:穿孔0.7%,後出血0.7%.両群の偶発症において外科手術・輸血を要する症例は認めなかった.両群比較では,局在ではESD群が有意に直腸に多く,左側結腸で少なかった.肉眼形態ではESD群が,有意にLST-NG,LST-G(mix)が多く,隆起型が少なかった.Pit patternではESD群で有意にVI軽度が多くIV,IIILが少なかった.最終病理診断ではESD群が有意にSM癌率,担癌率が高く,adenomaが少なかった.結語:偶発症は両群に有意差を認めず,ESDはEMRと同等レベルまで安全性を担保していた.病理結果からみても肉眼形態,pit patternの適応設定は妥当でEMRとESDの適切な棲み分けが成されていた.
索引用語