セッション情報 ワークショップ7

大腸腫瘍に対するESDの課題と今後の展開

タイトル W7-4:

大腸側方進展型腫瘍に対する治療選択―EMRかESDか?―

演者 福永 周生(大阪市立大学大学院医学研究科消化器内科学)
共同演者 斯波 将次(大阪市立大学大学院医学研究科消化器内科学), 藤原 靖弘(大阪市立大学大学院医学研究科消化器内科学)
抄録 【背景】2012年4月の大腸ESDの保険収載後,当院では特にESDの適応を変更していない.一方で2cm以上の側方発育型腫瘍(LST)に対しては,以前からEMRとの使い分けが問題となってきた.【目的】2cm以上のLSTに対するEMRとESDの治療成績を比較し,EMRで対応可能な病変を探る.【対象と方法】2005年4月~2012年9月に当院でEMR又はESDにて切除した,遺残再発を除く2cm以上の大腸腫瘍340病変のうち,LST260病変を対象にそれぞれの一括切除率および一括完全切除(一括切除かつ組織学的断端陰性)率を比較した.LST-Gは顆粒均一型(Uni)と結節混在型(Mix)に,LST-NGは平坦隆起型(F)と偽陥凹型(PD)に分類した.【結果】ESD vs.EMRの比較では,病変数:145 vs.115で,部位(右半結腸/左半結腸/直腸):81/15/49 vs.74/30/11,LST分類(Uni/Mix/F/PD):21/57/44/23 vs.32/29/52/2,平均腫瘍径(mm):34.0 vs.22.7,一括切除率(%):96.6 vs. 67.8,一括完全切除率(%):77.9 vs.44.3であった.次にEMR群の中で一括切除vs.分割切除で検討を行った.病変数:78 vs.37で,部位(右半結腸/左半結腸/直腸):50/22/6 vs.24/8/5,LST分類(Uni/Mix/F/PD):20/21/35/2 vs.12/8/17/0,平均腫瘍径(mm):22.1 vs.23.9,腫瘍径30mm未満/30mm以上:72/6 vs.30/7,見え方(接線/対峙):65/13 vs.30/7,襞との関係(またぐ/またがず):38/47 vs.23/7,屈曲部との関係(屈曲部/それ以外):5/73 vs.2/35,通常EMR/粘膜切開併用EMR:54/24 vs.32/5であった.平均腫瘍径と襞との関係で有意差を認め(p=0.03,0.003),30mm以上と通常EMRで分割切除となる傾向があった(共にp=0.07).【考察】20mm以上のLSTでも,30mm未満で襞をまたがない病変であれば,ESDには及ばないが粘膜切開併用EMRで一括切除が期待できる(一括切除率87.6%).ただしLST-NG PDはEMR群で2病変と少なくESDが望ましい.【結論】30mm以下で襞をまたがないLST-NG PD以外のLSTは,粘膜切開を併用したEMRで対応可能と考えられた.
索引用語