セッション情報 |
ワークショップ7
大腸腫瘍に対するESDの課題と今後の展開
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タイトル |
W7-10:全ての大腸腫瘍にESDは必要か?
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演者 |
福澤 誠克(東京医科大学消化器内科) |
共同演者 |
後藤田 卓志(東京医科大学消化器内科), 森安 史典(東京医科大学消化器内科) |
抄録 |
【背景】大腸腫瘍に対する内視鏡的粘膜下層剥離術が保険収載され,その適応病変は『最大径が2cmから5cmの早期癌又は腺腫』とされた.【目的】2cm以上5cm以下の早期癌又は腺腫に対して行われた大腸EMR/ESDの治療成績からESDの適応病変の妥当性について検討する.【対象と方法】2007年6月から2012年8月までに2cm以上の大腸腫瘍性病変(Ipを除く)に対して内視鏡治療を行った552病変(EMR:348/ESD:189)の短期治療成績(肉眼型・腫瘍径・占居部位・治療時間・完全一括摘除率・偶発症)を比較検討する.また3ヶ月以上経過観察が可能だった病変(EMR:256/ESD:135)を対象とし,遺残再発率ついて検討した.大腸ESD標準化検討部会に準じて,ESD適応病変は2cm以上のLST-NG病変,Non-lifting sign陽性のM癌,粗大結節の大きなLST-G病変,通常スネアで一括切除が困難な隆起性病変,遺残・再発病変とした.【結果】EMR(一括/分割;228/120):Is,sp/IIa,c/LST-NG/-G/遺残;98/65/51/133/1,平均腫瘍径;25.2mm,C-T/D-S/R;163/89/96,完全一括摘除率は56.3%,偶発症は後出血6例(2%),穿孔は1例(0.3%)だった.平均治療時間は13分だった.組織診断は腺腫:70%,癌:30%だった.遺残再発は12例(4.7%)(2-4分割:3例,5分割以上:9例)であり,内視鏡による追加治療で対処可能だった.ESD(189):Is,sp/IIa,c/LST-NG/-G/遺残;13/10/80/85/1,平均腫瘍径;31.7mm,C-T/D-S/R;97/31/61,完全一括摘除率は87.3%,後出血2例(1.0%)であり,穿孔はESDで5例(2.6%)に認めたが保存的加療で対処可能であった.治療時間は平均108分だった.組織診断は腺腫:17%,癌:83%だった.遺残再発は3例(2.2%)で,全て内視鏡追加治療で対処可能だった.【結論】2cmから5cmの病変でEMRを行った病変の多くは腺腫であり,遺残再発も追加内視鏡治療で対処しえた.一方ESDを行った病変は癌が多く,一括摘除による詳細な病理診断が必要と考えられ,適応として妥当と考えられた.全ての2cm以上の腺腫・癌に対してESDを行うことは治療時間の延長とともに偶発症の頻度を高めるため慎むべきである. |
索引用語 |
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