セッション情報 ワークショップ7

大腸腫瘍に対するESDの課題と今後の展開

タイトル W7-11:

大腸SM1000μm以深癌に対するESDの将来展望

演者 永田 信二(広島市立安佐市民病院内視鏡内科)
共同演者 田丸 弓弦(広島市立安佐市民病院消化器内科), 平野 大樹(広島市立安佐市民病院消化器内科)
抄録 【背景】大腸SM1000μm以深癌の内視鏡治療適応拡大が議論されているが,大腸SM癌の完全摘除生検としてESDを選択するかEMRを選択するかに関する報告は少ない.【目的】大腸SM癌に対する内視鏡治療選択から大腸ESDの将来展望について検討する.【対象と方法】対象は内視鏡治療施行大腸SM癌74病変(EMR:47病変,ESD前期:10病変,ESD後期:17病変)である.これらを用いてSM癌最深部から深部断端までの実測値(μm)とSM浸潤実測値,部位,病型の関係から大腸SM1000μm以深癌の内視鏡治療選択について検討した.なお,局注液はEMRでは生理食塩水,ESDではヒアルロン酸Naを使用した.また,ESD前期は大腸ESD全体で50例まで,ESD後期は51例以降とした.【結果】EMR,ESD前期,ESD後期別の腫瘍径は,14.5±5.7mm,27.0±13.8mm,24.7±11.0mm,SM浸潤度(1000μm未満,1000μm以上)は(9,38),(3,7),(4,13),部位(結腸,直腸)は(38,9),(6,4),(8,9),病型(陥凹なし,陥凹あり)は(37,10),(7,3),(16,1)であった.SM癌最深部から深部断端までの実測値は,EMR:978±720μm,ESD前期:758±1148μm,ESD後期:1149±819μmでESD後期において一番長かった.部位別(結腸,直腸)では,EMR(1070±759μm,573±285μm),ESD前期(868±1449μm,593±630μm),ESD後期(1089±904μm,1202±788μm)であった.病型別(陥凹なし,陥凹あり)では,EMR(1045±774μm,754±285μm),ESD前期(955±1234μm,223±175μm),ESD後期(1270±881μm,414μm)でいずれも陥凹なしの方が長かった.SM浸潤実測値別のSM癌最深部から深部断端までの実測値はSM1000μm未満ではEMR:619±316μm,ESD前期:263±142μm,ESD後期:562±313μm,SM1000μm以上ではEMR:1060±763μm,ESD前期:970±1340μm,ESD後期:1330±849μmで,SM1000μm以上ではESD後期において一番距離が長かった.【結論】ESD導入後期では大腸SM1000μm以深癌に対する内視鏡治療としてESDを選択するべきと考えられた.
索引用語