セッション情報 |
ワークショップ8
炎症性腸疾患の病態解明を目指した新しいアプローチ
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タイトル |
W8-11:IFX二次無効クローン病における関連因子の検討
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演者 |
曽野 浩治(東邦大学佐倉病院内科学講座消化器分野) |
共同演者 |
山田 哲弘(東邦大学佐倉病院内科学講座消化器分野), 鈴木 康夫(東邦大学佐倉病院内科学講座消化器分野) |
抄録 |
【目的】抗TNF-α抗体製剤であるInfliximab(IFX)はクローン病(CD)に対して,中心的治療薬として汎用されている.しかし,長期寛解維持投与中にIFXの有効性が減弱する二次無効症例(Loss of Response:LOR)が30%程度出現することが明らかにされ,IFX治療上の大きな課題となっている.今回我々は,LOR発現機序に免疫学的異常が存在する可能性と,その免疫学的異常の是正とLOR改善効果を期待して顆粒球吸着除去療法(GCAP)を併用した効果を検討したので報告する.【方法】当科におけるCD症例に対しIFX投与症例(1:寛解維持投与群36症例,2:LOR群38)を対象として,IFXトラフ値,CDAI,各種免疫学的マーカーを測定した.LOR症例に対しては,15症例に対してGCAPを併用し治療効果と共に各種免疫学的マーカーの変動を検討した.【結果】2群において,クローン病罹病期間=9.3±5.0(年)(p=0.02),IFX投与期間=3.4±2.0(年)(p=0.01)で1群に比し有意な延長が認められたほか,CRP,CDAIにおいても有意に高値であった.IFXトラフ濃度は1群4.7μg/ml,2群8.4μg/mlで差異は認めなかったが,2群では4週おきのIFX短縮投与を行っていた.2群では可溶性IL-2Rは有意に高値であったほか,抗核抗体,血中免疫複合体(CIC)の陽性化率が50.0%,68.4%であり,1群に比べ有意に高かった.GCAPを施行した15例のうち7例において有効性を示し,GCAP反応群においてはIL-10の増加やCIC,抗核抗体の低下が認められた.【結論】IFX投与時のLOR症例ではIFX血中濃度の低下が見られ,その原因として抗IFX抗体の存在が強く関与していると推測された.抗IFX抗体産生の背景には調整系免疫機能の異常が存在し,その結果過剰免疫応答による抗IFX抗体産生が惹起されている可能性が想定された.そのようなLOR症例に対しては,免疫機能是正効果を介したGCAPの有効性が期待される. |
索引用語 |
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