セッション情報 ワークショップ8

炎症性腸疾患の病態解明を目指した新しいアプローチ

タイトル W8-12:

難治性Crohn病に対するInfliximab倍量投与の検討

演者 上小鶴 孝二(兵庫医科大学病院下部消化管科)
共同演者 福永 健(兵庫医科大学病院下部消化管科), 松本 誉之(兵庫医科大学病院下部消化管科)
抄録 【目的】Crohn病(CD)の治療はinfliximab(IFX)が保険適応になり,栄養療法主体の治療から劇的に変化した.IFX投与により寛解導入,維持が可能な症例も多く認めるが,無効症例,Loose of response(LOR)も存在し治療に難渋する症例も多い.2011年8月17日より既存量で十分な治療効果が得られない症例に対して10mg/BWの投与が可能となった.LORに対して様々な策を講じても症状を維持する事が困難な症例に対して倍量投与を行い,臨床的効果や内視鏡的評価,生物学的製剤の有無を検討した.【方法】対象はIFXにLORな41症例.LORに対し,IFX再導入が16症例,期間短縮が20症例,PSL併用が13症例,免疫調節剤併用が15症例,GMA併用が9症例,ADA変更が8症例であった.罹病期間は9.32±7.09年,年齢33.02±15.07歳,小腸型4例,大腸型5例,小腸大腸型32例,瘻孔型10例,狭窄型7例,炎症型24例.IFX導入方法としてStep up20例,Top down10例,術後早期11例,経腸栄養療法961.5±396.4Kcal,併用療法として5-ASA38例,免疫調節剤17例.ADA投与が8例であった.腸管切除は20例であった.以上の症例に対して効果を検討した.【結果】カルテ上記載判断より倍量投与後に8週間隔維持可能症例は42%,7週間隔の維持可能症例は8%であった.41症例中6症例は無効のため倍量投与後にADA変更や手術等に至った.IFX投与後にADAに変更し,その後IFX倍量へのW-switch症例は8例認め,8週維持可能が38%,7週維持可能が13%であった.倍量投与開始による著明な副作用は認めなかった.【結論】IFXに対するLOR症例に倍量投与を行った症例を検討した.W-switch症例も含め約4割が8週間隔の効果維持が可能であった.安全性に問題なく,効果減弱症例では早期に倍量投与を検討することが望ましいと思われた.
索引用語