セッション情報 | ワークショップ9炎症性腸疾患の内科的治療戦略と外科との接点 |
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タイトル | W9-3:Infliximab長期治療成績からみた潰瘍性大腸炎に対する治療戦略
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演者 | 山田 聡(京都大学消化器内科) |
共同演者 | 吉野 琢哉(京都大学消化器内科), 仲瀬 裕志(京都大学消化器内科) |
抄録 | 【目的】本邦において,活動性潰瘍性大腸炎(UC)に対するInfliximab(IFX)治療の有効性は報告されている.しかしながら,1次無効および2次無効例への対応や,手術回避効果を含めた長期の治療成績については未だ明らかとなってはいない.今回我々は,当院のUC患者に対するIFX治療導入後の治療経過をretrospectiveに検討し,難治性UCに対するIFX治療における問題点と今後の治療戦略について考察した. 【方法】対象は2006年3月から2012年9月までに当院でIFX投与を行ったUC患者36例.IFX投与方法は単回投与11例,計画的維持投与25例で,観察期間中央値は38ヶ月(3-76ヶ月)であった.IFX投与量は原則5mg/kgとし,寛解導入療法(0,2,6週)施行後,維持療法(8週毎の計画的維持投与)へと移行した.経過中,8週毎のIFX投与で寛解維持が困難な症例に対し,IFX治療の強化(増量,投与期間短縮,再寛解導入療法)あるいは免疫抑制剤(Tacrolimus)による治療を行った.疾患活動性についてはModified Truelove and Witts Severity Index(MTWSI)にて4以下を寛解と定義し,累積大腸非切除率および寛解維持率を検討した. 【結果】1)全36例のKaplan-Meier法による累積大腸非切除率は69.0%であり,IFX単回あるいは計画的投与(5mg/kg,0,2,6週+8週毎)で寛解維持可能な患者は36例中9例(25.0%)のみであった.2)IFX計画的投与で寛解維持が困難であった27例中,15例(41.7%)はIFX治療の強化[13例:増量(平均7.0mg/kg)または投与期間短縮(平均5.8週毎),2例:再寛解導入療法]を行った.14例で寛解維持が得られ,1例が手術を要した.3)IFX以外の治療を選択した残り12例中,3例(8.3%)は手術,9例(25.0%)はTacrolimusによる寛解導入療法へ移行した.Tacrolimus治療を受けた患者群のうち4例は手術に至った. 【結語】難治性UC患者の長期寛解維持および手術回避には,IFX増量や投与期間短縮などIFX治療の強化を積極的に考慮する必要があると考えられた. |
索引用語 |