セッション情報 ワークショップ9

炎症性腸疾患の内科的治療戦略と外科との接点

タイトル W9-7:

潰瘍性大腸炎に対する内科的治療と手術適応の変遷

演者 池内 浩基(兵庫医科大学炎症性腸疾患センター)
共同演者 内野 基(兵庫医科大学炎症性腸疾患センター), 松岡 宏樹(兵庫医科大学炎症性腸疾患センター)
抄録 (目的)潰瘍性大腸炎(以下UC)の内科的治療はタクロリムス,intensive CAP療法やinfliximabの保険適応によりここ5年間で大きな変遷を示している.そこで,UC手術症例の術前の臨床的背景,手術適応,手術数にこれらの治療が保険適応となる前後で変化がみられるかどうかを検討した.(対象と方法)2011年12月までに当科で手術を行った1350例を2006年以前の手術症例907例(前期群)と2007年以降の手術症例443例(後期群)に分け比較検討した.(結果)1.臨床的背景:手術時年齢は(いずれも中央値)34歳から42歳に有意に高齢化しており,手術までの病悩期間も69.3ヶ月から76.8ヶ月に有意な延長を認めた.性別は男性症例が494(54.5%)から265(60.0%)に増加していたが有意差はなかった.2.術前の内科的治療:ステロイド総投与量は12000mgから7950mgへ,1日投与量は20mgから15mgへ有意な減少を認めた.免疫調節剤(11.6%→43.1%),血球成分除去療法(40.5%→59.4%),Infliximab使用症例(0→3.2%)はいずれも有意な増加を認めていた.3.手術適応:重症・劇症例193例(21.3%)から83例(18.7%)と難治例649例(71.6%)から294例(66.4%)に減少していたが,癌/dysplasia症例は65(7.2%)から66(14.9%)へ有意な増加を認めた.緊急手術症例は193例(21.3%)と84例(19.0%)で有意差は認めなかった.年間の手術数:2007年の100例から減少傾向で2011年は73例であった.(結語)1.内科的治療法の選択肢が増加したことにより手術までの病悩期間は有意に延長し,手術適応が癌/dysplasia症例が有意に増加しており,サーベイランスの重要性が高まっている.2.手術数はやや減少傾向である.
索引用語