セッション情報 |
ワークショップ9
炎症性腸疾患の内科的治療戦略と外科との接点
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タイトル |
W9-9:潰瘍性大腸炎におけるQOL改善を目的とした手術適応の検討
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演者 |
小川 仁(東北大学生体調節外科) |
共同演者 |
柴田 近(東北大学生体調節外科), 海野 倫明(東北大学消化器外科) |
抄録 |
【目的】近年,潰瘍性大腸炎に対する内科的治療が進歩し,これらの治療法の優劣に関して「手術回避率」などの指標が用いられている.しかし潰瘍性大腸炎治療の目的は,内科的治療か外科的治療かの手段を問わず,まず第一に救命,次いでQuality of Lifeの改善と維持にある.本研究では,術後のQOLを調査することにより「QOLの改善を目的とした潰瘍性大腸炎の手術適応」について検討した.【方法】潰瘍性大腸炎に対して手術を施行した患者に対して,SF36v2とIBDQを用いて郵送によるQOL調査を行った.SF36v2のスコアは国民標準値を50,標準偏差を10としたスコアリングによって算出し,3コンポーネント・サマリースコアを用いて評価した.【成績】有効な回答は131例から得られた.男性64例・女性67例,QOL調査回答時の年齢は48.4±15.9歳.術式は大腸全摘・回腸嚢肛門(管)吻合113例,大腸全摘・永久回腸ストマ造設17例,その他1例,手術からQOL回答までの期間は8.4±5.5年.SF36v2による評価では「身体的健康」をあらわすPhysical component summary(PCS)は48.5±10.1,「精神的健康」をあらわすMental component score(MCS)は49.6±8.4,「役割/社会的健康」をあらわすRole-social component score(RCS)は47.1±11.7,上四分位置25%はPCS 43.1,MCS 44.2,RCS 39.8であった.IBDQの全身スコアは24.2±4.8,腹部スコア58.3±8.1,精神スコア66.3±9.6,社会スコアは23.9±4.0,合計スコアは176.7±23.1点,上四分位置25%は161点であった.【結論】潰瘍性大腸炎術後のQOLからみた場合,SF36v2による評価でPCS・MCS・RCSそれぞれ概ね40以下,またIBDQでは合計スコアが概ね160点以下の症例では,手術によってQOL改善が得られる可能性が高いと考えられる. |
索引用語 |
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