セッション情報 |
ワークショップ9
炎症性腸疾患の内科的治療戦略と外科との接点
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タイトル |
W9-10:潰瘍性大腸炎に対する外科手術と術後サーベイランス
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演者 |
日吉 雅也(東京大学腫瘍外科学) |
共同演者 |
須並 英二(東京大学腫瘍外科学), 渡邉 聡明(東京大学腫瘍外科学) |
抄録 |
【目的】潰瘍性大腸炎(UC)に対する術式として,回腸嚢肛門(管)吻合術(IPAA)が標準術式となっているが,以前は回腸直腸吻合術(IRA)もよく行われていた.今回,当科のUCに対する手術適応・術式の推移および術後のサーベイランスについて検討した.【対象と方法】1963年から2012年9月までに東京大学腫瘍外科にて手術を行ったUC症例148例について,前期(1999年以前)91例と後期(2000年以降)57例との間の手術適応,術式選択や術前の臨床的特徴の変化について比較検討した.また,術後もサーベイランス内視鏡を施行した102例の癌・dysplasiaの発生について検討した.【結果】手術時年齢は,前期35(11-70);後期44(15-83)歳,手術までの病悩期間は,前期8.0(0.1-27)年;後期11.4(0.6-50)年と後期の症例で有意に年齢が高く病悩期間も延長していた.手術適応では,癌・dysplasiaを適応とする症例の割合が前期22例(24%)から後期17例(30%)へと後期で増加していた.癌・dysplasiaがサーベイランスによって発見された割合も前期14例(64%)から後期14例(82%)と後期で増加していた.最終的な再建術式は,前期ではIRA 29例,IPAA53例であったが,後期ではIRA症例はなく,全例IPAAであった.術後のサーベイランスを施行した症例の内訳は,IRA29例,IAA22例,IACA51例で,術後フォローアップ期間の中央値はIRA(15.6年),IAA(4.5年),IACA(6.7年)であった.IRA患者のうち4人が術後サーベイランスにてdysplasiaと診断された.そのうちの手術を行った3例の最終病理診断は,sm浸潤癌2例,HGD 1例であった.残りの1例は,LGDに対して経過観察中である.IPAA患者では,回腸嚢のstaple line ulcerから一過性にLGDが検出された症例を1例,回腸嚢内に癌が再発し手術を施行した症例を1例認めている.【結語】前期よりも後期の症例で,手術時年齢は高く,手術までの病悩期間も長くなっていた.また,前期に行われていたIRA症例では,術後もサーベイランスを継続することで早期の段階での癌の発見が可能であった. |
索引用語 |
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