セッション情報 |
ワークショップ9
炎症性腸疾患の内科的治療戦略と外科との接点
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タイトル |
W9-14:小腸閉塞をきたしたクローン病の内科的・外科的治療の背景因子の比較および内視鏡的バルーン拡張術の予後
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演者 |
山田 弘志(名古屋大学大学院医学研究科消化器内科学) |
共同演者 |
大宮 直木(名古屋大学大学院医学研究科消化器内科学), 後藤 秀実(名古屋大学大学院医学研究科消化器内科学) |
抄録 |
【目的】小腸閉塞をきたしたクローン病(CD)に対して内科的治療が奏効するか外科手術が必要かを決定する背景因子,およびダブルバルーン小腸内視鏡(DBE)下バルーン拡張術(EBD)の奏効に寄与する背景因子・予後を検討する.【対象・方法】2003年6月~2011年8月に腸閉塞を契機にDBEを施行したCDの45例.内科的治療奏功群と外科手術群に分け,各種背景因子を多変量解析で比較した.また,CDの小腸狭窄でDBE下EBDを施行した28例の経過で,手術回避群と手術必要群を各種背景因子で多変量解析し,かつEBDの予後も検討した.【結果】初期治療はEBD,外科手術,薬物療法であり,EBD施行例は45例中20例でその中の6例はEBDのみで再燃なく経過している.残り14例は狭窄症状が再燃し,7例はEBDを繰り返すことで手術回避されたが,残り7例は手術を要した.初期治療で外科手術を選択した11例の原因は瘻孔,内視鏡挿入による穿孔,EBDによる穿孔,難治性潰瘍,長い狭窄であった.薬物療法14例中10例はその後も内服のみで経過良好だったが,4例が手術に至った.内科治療群(EBD+薬物療法)34例と外科治療群11例の2群の比較では手術例に有意に穿孔型(P=0.012)と吻合部病変(P=0.049)が多かった.またDBE下EBD施行例での手術回避群と手術必要群ではどの因子も有意差がなかった.DBE下EBDの予後(観察期間:56ヶ月)は累積非症状再燃率が48ヶ月で6/28例(21%).繰り返しEBDを行うことで,累積手術回避率は48ヶ月で16/28例(57%)であった.【結論】穿孔型および小腸吻合部病変は外科手術に至る例が多く,今後治療法の選択に考慮する必要がある.また,CDの小腸狭窄に対するDBE下EBDは外科手術を回避する有効な治療法であることが示された. |
索引用語 |
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