セッション情報 ワークショップ10

過敏性腸症候群に対する新規治療法

タイトル W10-1:

下痢型過敏性腸症候群に対するラモセトロン塩酸塩の効果

演者 千葉 俊美(岩手医科大学医学部消化器・肝臓内科)
共同演者 鳥谷 洋右(岩手医科大学医学部消化器・肝臓内科), 鈴木 一幸(岩手医科大学医学部消化器・肝臓内科)
抄録 過敏性腸症候群(IBS)に対する治療としてわれわれはポリカルボフィル製剤投与により大腸通過時間,便形状および腹部症状が改善し,特に腹部症状が改善することでQOLが改善することから,IBSの治療目標として腹部症状の改善が第一に望まれることを報告している(千葉俊美,他.消化器科2003,Chiba T, et al. Hepato-Gastroenterol 2005).目的:下痢型過敏性腸症候群に対するラモセトロン塩酸塩投与後の症状改善について検討した.対象:下痢型過敏性腸症候群患者10例(男性10例;平均年齢44.9歳)を対象とした.方法:前記IBS患者に対して,5μg/日のラモセトロン塩酸塩を1日1回経口投与し,投与前および4週後の腹部症状改善の程度,排便回数,便形状を検討し,投与前および12週後のSF-8質問票の点数を比較検討した.結果:腹部症状改善の程度は投与4週後で「かなり改善した」が20.0%,「やや改善した」が70.0%であった.排便回数の変化は投与前3.6±1.6回/日,投与4週後が2.2±1.3回/日と減少傾向を認め,便形状スケールは,投与前5.6±0.5,投与4週後が4.2±1.7と有意に低下を認めた(P<0.05).SF-8では日常役割機能-身体(RP)と体の痛み(BP)においてQOLの改善傾向を認め,さらに身体的サマリースコアにおいて改善傾向を認めた.考察:5-HT3受容体拮抗薬であるラモセトロン塩酸塩により早期に腹部症状が改善したことは,大腸痛覚伝達および内蔵知覚などの関与が示唆された.
索引用語