セッション情報 ワークショップ11

硬化性胆管疾患の現状と問題点

タイトル W11-1:

本邦における硬化性胆管炎の現状~全国調査の結果から~

演者 田中 篤(帝京大学医学部内科学講座)
共同演者 滝川 一(帝京大学医学部内科学講座)
抄録 【目的】われわれは2012年,本邦における硬化性胆管炎の実態を明らかにすることを目的とし,2005年以後に診断された原発性硬化性胆管炎(PSC)および自己免疫膵炎を合併していないIgG4関連硬化性胆管炎(IgG4-SC)についての全国調査を行った.【方法】主に日本胆道学会評議員を対象としたアンケート調査を行った.調査票配布施設は144施設,うち41施設から回答を得た.【成績】PSC197例,IgG4-SC43例が集計された.性比はPSCが男性:女性=54%:46%,IgG4-SCが77%:23%,診断時平均年齢はPSC 46.1歳,IgG4-SC 69.8歳であり,PSCの年齢分布は前回調査同様2峰性であった.IgG4-SCでは1例を除き全例が50歳以上であった.診断時症状は両者とも同等,診断時血液検査所見ではIgG・IgG4の他,アルブミン,IgMなどに両者間の有意差がみられた.PSCの12.4%がIgG4 135mg/dl以上,IgG4-SCの10.5%が135mg/dl未満であった.胆道造影における病変部位はPSCでは肝内のみ,IgG4-SCでは肝内外が最も高頻度であり,IgG4-SCの胆管像分類ではIV型が全体の51%を占めていた.PSCにおける炎症性腸疾患,及び胆管細胞癌の合併頻度はそれぞれ35%,7.3%であった.治療としてはPSCの76%にウルソデオキシコール酸が投与されていた.IgG4-SCでは27例でステロイドが投与され,そのうち治療効果について回答のあった23例全例で治療効果が認められていた.肝移植はPSC20例で施行されていたが,IgG4-SCでの施行例はなかった.平均観察期間はPSC 2.74年,IgG4-SC 2.29年であり,3年生存率はPSC 85.0%(全生存)・77.3%(移植なし生存),IgG4-SC 90.0%であった.【結論】IgG4-SCを除外した上でも本邦におけるPSC症例の年齢分布は2峰性であったが,IgG4-SCは1例を除き全例が50歳以上であった.診断時症状はほぼ同等,血液検査値ではIgG・IgG4・アルブミンに有意差がみられたが,IgG4値のみでは両者の鑑別は困難であった.IgG4-SCにおけるステロイドの治療効果は良好であり,長期予後もPSCに比べIgG4-SCでは良好であった.
索引用語