セッション情報 ワークショップ11

硬化性胆管疾患の現状と問題点

タイトル W11-7:

IgG4関連硬化性胆管炎(IgG4-SC)診断における肝生検の有用性~IgG4関連硬化性胆管炎臨床診断基準2012を踏まえて~

演者 松木 信之(神戸大学消化器内科)
共同演者 増田 充弘(神戸大学消化器内科), 塩見 英之(神戸大学消化器内科)
抄録 【背景・目的】IgG4-SCの確定診断には原発性硬化性胆管炎(PSC)や悪性腫瘍との鑑別が必須であるが,胆管外病変を伴わない症例では診断は時として困難である.鑑別診断のためには組織診断が重要であり,多くは胆管の生検や擦過細胞診が行われているが,十分な検体が得られず診断に苦慮する場合も少なくない.一方,PSCでは診断のために肝生検が行われているが,IgG4-SCにおいては肝生検の有用性は未だ十分検討されていない.そこでIgG4-SCの診断に肝生検が有用かを検討した.【対象と方法】2007年1月から2012年7月までに当院で経験した肝病理標本の得られたIgG4-SC 6症例(手術3例,肝生検3例)とPSC 10例(生体肝移植5例,手術1例,肝生検4例)を対象として,その肝病理組織像を比較検討した.IgG4-SC手術例3例はすべて膵病変を伴わないIgG4-SC type4であり,術前に胆管癌と診断され手術されていた.IgG4-SC肝生検3例の胆道造影所見はtype1~3まで1例ずつ認めた.PSCの手術例は4例が肝硬変で,2例が前肝硬変症例であった.【結果】IgG4-SCの病理組織では,胆道造影で硬化を伴う肝内胆管領域に細胆管レベルで形質細胞浸潤を認めた.また,細胆管および門脈域にIgG4陽性形質細胞浸潤がPSCと比較して高度に認められた.しかしType1では同所見は認められなかった.【結語】膵病変を伴わないIgG4-SC type4は術前に現行の診断基準においては確定診断を行うことが難しいと考えられる.このような症例に対して,胆道造影にて硬化像のある領域を肝生検することが診断の一助になる可能性が示唆された.
索引用語