セッション情報 ワークショップ11

硬化性胆管疾患の現状と問題点

タイトル W11-8:

IgG4関連硬化性胆管炎診療における胆管腔内超音波の役割:胆管壁層構造と壁厚の意義

演者 桑谷 将城(北海道大学病院消化器内科)
共同演者 河上 洋(北海道大学病院消化器内科), 坂本 直哉(北海道大学病院消化器内科)
抄録 【背景】IgG4関連硬化性胆管炎(IgG4-SC)の診断基準2012が示されたが,病態を正確に反映する画像診断法の確立や胆管癌(BDC)との鑑別も重要な課題である.
【目的】IgG4-SC診療における胆管腔内超音波(IDUS)の有用性を明らかにする.
【対象と方法】2005年4月-2012年8月の間,当科で診断基準2012により確診となったIgG4-SC 40例(39例はAIP合併)および胆管ドレナージ前にIDUSを施行して根治術を行ったBDC 40例.IDUS所見による胆管壁層構造は,(A)高-低-高の3層構造と(B)肥厚した低1層もしくは低-高2層構造の2種類に分けられた.胆管壁厚は最肥厚部にて測定した.
【検討項目】1)IgG4-SC患者背景,2)診断基準2012胆管像分類,層構造,壁厚の内訳,3)胆管外病変数と壁厚の関連,4)胆管壁厚とIgG4+細胞数の関連,5)胆管壁層構造とIgG4-SC,BDCの関連とした.
【結果】1)平均年齢68.0歳(54-83),男女比34:6,血清IgG4値573.4 mg/dl(76.4-1720),2)胆管像/壁層構造A:B/壁厚:Type 1 18例/10:6/1.8 mm(2例不明),Type 2 8例/4:4/2.1 mm,Type 3 9例/6:3/1.9 mm,Type 4 3例/2:1/2.5 mm,分類不能2例で,Type間に明らかな差はなかった.胆管壁厚は全体平均で2.0 mm(0.86-4.2)であった.3)胆管外病変1個23例,壁厚1.7 mm;胆管外病変2個以上17例,壁厚2.3 mmで,病変数とともに壁厚が増加した(P=0.036).4)経乳頭的に胆管生検されたIgG4-SC 25例における胆管壁厚とIgG4+細胞数の検討では有意な相関はみられなかったが,IgG4+細胞数>10/HPFは15例(60%)でみられた.5)胆管壁層構造に関して(A:B),IgG4-SC 38例22:16;BDC 40例11:29で,IgG4-SCで有意に3層構造の頻度が高かったが(P<0.01),その特異度は低かった(73%).
【結語】IDUSによる胆管壁厚値はIgG4関連疾患の病勢を反映し,胆管壁層構造所見はBDCとの鑑別に有用である.経乳頭的胆管生検はIgG4-SCの診断やBDCとの鑑別診断に重要だが,IDUSやその他の画像所見との関連性については検討が必要である.
索引用語