セッション情報 ワークショップ11

硬化性胆管疾患の現状と問題点

タイトル W11-10:

IgG4関連硬化性胆管炎の臨床的特徴に関する検討

演者 伊藤 啓(仙台市医療センター仙台オープン病院消化器内科)
共同演者 越田 真介(仙台市医療センター仙台オープン病院消化器内科), 藤田 直孝(仙台市医療センター仙台オープン病院消化器内科)
抄録 【目的】IgG4関連硬化性胆管炎(IgG4-SC)の臨床的特徴について検討すること.【対象と方法】IgG4-SC臨床診断基準2012でIgG4-SCと診断した30例(確診29例,疑診1例,男女比24:6,平均年齢65歳)を対象とした.検討項目は,初発症状,自己免疫性膵炎(AIP)の合併頻度,胆管像のType別頻度,ステロイド療法施行例の臨床経過,胆管ステント留置例の臨床経過,再燃率と危険因子である.【結果】初発症状は腹痛10例,黄疸8例,体重減少3例,全身倦怠感3例,発熱1例であり,無症状は5例であった.AIPは97%(29例)に合併していた.同時期に診療した43例のAIPにおけるIgG4-SCの合併率は67%(29例)であった.胆管狭窄はType 1(T-1)が最も多く25例(86%),Type 2a(T-2a)2例(7%),Type 3(T-3)1例(3%),Type 4(T-4)2例(7%)であった.AIPの合併のない1例はT-4であった.胆管ステント留置を併用した4例を含む12例(40%)にステロイド療法(初期投与量30-60mg/day)を導入し,全例で狭窄の改善がみられた.5-10mg/dayの維持療法を8例に平均34ヶ月間(1-84ヶ月間)施行した.T-2-4の5例ではステントを留置せず,AIPの合併のない1例を除く4例でステロイド療法を行った.T-1の25例中8例では胆管ステントの留置のみを行った.60ヶ月間の平均観察期間中にT-1の8例(27%)で再燃がみられた.再燃までの平均期間は48ヶ月間(8-197ヶ月間)であった.再燃した症例の初回治療は,維持療法を行わなかったステロイド療法3例,ステント留置のみ3例,経過観察2例であった.胆管狭窄の再発様式はT-1が4例,T-2が2例,T-3が2例であった.再燃の危険因子に関する多変量解析では,T-1で維持療法のないステロイド投与例が抽出された(odds比13,95%CI 1.1-148,P=0.044).【結論】IgG4-SCの83%は症状を契機に発見され,胆管像の86%はType 1であった.再燃を27%に認め,半数はType 2もしくはType 3に変化した.Type 1で維持療法のないステロイド治療のみを行った例が再燃の危険因子であった.
索引用語