セッション情報 ワークショップ12

胆膵疾患に対するinterventional EUSの現状

タイトル W12-1:

当科におけるinterventional EUSの現状~導入初期施設からの報告~

演者 松田 暁子(山形大学第二内科)
共同演者 牧野 直彦(山形大学第二内科), 上野 義之(山形大学第二内科)
抄録 【はじめに】EUS下穿刺術を応用した診断・治療:「interventional EUS」は,本邦において2000年頃から普及し,現在はその有用性と安全性が高く評価される手技となっている.当科では先進施設からのご指導を仰ぎながら,2010年より本格的に臨床応用を開始した.今後の手技・診断能向上のため,これまで当科で経験したinterventional EUS施行症例について検討し報告する.【結果】(1)目的:interventional EUS施行症例は27例であった.EUS-FNA24例;膵癌症例13例,膵癌以外の症例11例(自己免疫性膵炎3例,膵内分泌腫瘍2例,転移性膵腫瘍2例,膵周囲リンパ節腫脹2例,消化管粘膜下腫瘍2例).治療目的3例;膵仮性嚢胞ドレナージ2例,肝膿瘍ドレナージ1例.(2)穿刺手技:細胞検査士立ち合いのもと迅速細胞診を行い,検体を採取した.穿刺針は病変部位等に応じて22G,25G針を選択し,Door-knocking method 20回,平均穿刺回数は3.2(±0.85)回であった.出血,膵炎等の偶発症は認めなかった.(3)診断:FNA施行24例中組織診断が得られた症例は13例(54.2%)であった.膵癌症例における診断手法別の診断率は,組織診断8例(61.5%),細胞診(calssIIIb以上)12例(92.3%),k-ras mutation10例(76.9%)であった.組織診断が得られなかった症例の内2例はk-ras mutation陽性であった事が診断の一助になった.【考察】EUS-FNAの習熟には比較的長期間を要するとの報告があり,当科においてもinterventional EUS経験数はまだ少ない.組織診断率が低率である事は検体採取率量の不足等に起因していると考えられるが,膵癌診断において遺伝子検索結果を加味する事が診断能の向上に繋がっており,手技的問題を補完する重要な診断的要素と考えられた.
索引用語