セッション情報 ワークショップ12

胆膵疾患に対するinterventional EUSの現状

タイトル W12-2[追加]:

超音波内視鏡下穿刺吸引法(EUS-FNA)導入初期における問題点と対策

演者 美登路 昭(奈良県立医科大学消化器内分泌代謝内科)
共同演者 山尾 純一(奈良県立医科大学中央内視鏡超音波部), 福井 博(奈良県立医科大学消化器内分泌代謝内科)
抄録 【目的】当科では2010年までは必要時に機器をレンタルしてEUS-FNAを施行していたが,2011年にオリンパス社製GF-UCT260,Aloka prosound-α10が採用されて以来,症例数は飛躍的に増加している.そこで,当科における本手技の現況を総括し,導入初期の問題点について検討する.【方法】対象は2002年12月から2012年8月までに,EUS-FNAを施行した76例(男性45例,女性31例,平均年齢65.0才).穿刺針は主にクック社製のecho chip 25Gを使用し,On-siteでの迅速細胞診は行っていない.機器をレンタルして施行していた2010年までを前期(22例),2011年を中期(24例),2012年を後期(30例)とし,対象疾患,穿刺回数,検体採取率,診断能,合併症について比較検討する.【成績】対象疾患は消化管粘膜下腫瘍(SMT)28例(前期16,中期5,後期7),膵疾患44例(6,17,21),リンパ節等4例(0,2,2)で,近年は膵疾患の割合が高率となっている.平均穿刺回数は2.5回(2.9,2.6,2.2)で,減少傾向にあった.検体採取率は,90.8%(86.4,95,8,90)で,組織診検体採取率は,63.2%(18.2,87.5,76.7)であった.中期に比し,後期の検体採取率が低いのは小さなSMTを対象に含めたのが原因と考えられた.手術や経過観察により診断を確定した61例(15,23,23)における感度は88.0%(90,90.5,84.2),特異度は91.0%(80,100,100),正診率は88.5%(86.7,91.3,87)で,各時期による差はなかった.自己免疫性膵炎では癌の否定は可能であるが特徴的な組織所見を得るのは困難であった.合併症として2.6%(2例)に軽症膵炎,1.3%(1例)に胃粘膜下血腫を認めた.【結語】EUS-FNAは導入初期から比較的高い正診率が得られ,重篤な合併症が少ない手技である.小径のSMTや自己免疫性膵炎を確実に診断するには,さらなる経験と工夫が必要と思われる.
索引用語