セッション情報 ワークショップ12

胆膵疾患に対するinterventional EUSの現状

タイトル W12-3:

EUS-FNA初心者の技術習得の効率化に向けて~導入における問題点

演者 麻生 暁(九州大学病態制御内科)
共同演者 小副川 敬(九州大学病態制御内科), 中村 和彦(九州大学病態制御内科)
抄録 【背景】EUS-FNA(以下FNA)は胆膵疾患の診断,治療に不可欠なツールであり,保険収載により急速に普及が進んでいる.一方でFNA初心者においては導入初期における正診率のばらつきが報告されており,導入における課題である.【目的】当院内視鏡医の技術背景やFNA導入開始初期の成績からFNA初診者における問題点をレトロスペクティブに検討した.【対象】当院では2002年よりFNA導入し,指導体制が安定した2006年4月以降は消化器病学会専門医かつFNA100例以上の経験者の指導の元,初心者は電子ラジアル内視鏡検査による検査研修約8ヶ月を経験した後にEUS-FNA導入としている.上記以降にFNA初期研修を開始した3人の内視鏡医ABC(卒後11年,7年,7年)を対象にFNA開始前の内視鏡経験数(上部/下部/ERCP/ESD/大腸EMR),FNA導入1例目までの電子ラジアル内視鏡検査数,FNA導入初期30例の患者背景,成績(検体採取率,正診率,偶発症)について検討した.【結果】施行医間の対象症例の患者,疾患背景に明らかな差は認めなかった.術者間の差は開始時の電子ラジアル内視鏡経験数(A50例,B 31例,C 61例)とERCPの経験の有無(CのみERCP350例の経験あり)であった.3人の術者によるFNA初期30例の成績検体採取率は細胞診(100/100/100%),組織診(50/80/100%)で,偶発症は(0/0/3)%であった.A,Bにおいてはそれぞれ2例ずつサンプルエラーが原因と考えられる良悪性診断困難例を認めた.【結語】専門医と十分な経験を持つ指導体制下でのEUS-FNA導入において,背景の異なる3人の術者のFNA導入初期の成績に明らかな差は認めなられなかった.一方で内視鏡経験の浅い術者のFNA導入初期においては,サンプルエラーの可能性を考慮して十分なバックアップ体制の確立が必要であると考えられた.精度の高い標準化という観点から,FNA導入における妥当な内視鏡経験数の設定が今後の検討課題と考えられた.
索引用語