セッション情報 ワークショップ12

胆膵疾患に対するinterventional EUSの現状

タイトル W12-5[追加]:

膵腫瘍に対するEUS-FNAにおける標準化のための至適吸引法の検討~suction technique vs. slow pull technique~

演者 中井 陽介(東京大学消化器内科)
共同演者 伊佐山 浩通(東京大学消化器内科), 小池 和彦(東京大学消化器内科)
抄録 【目的】膵腫瘍性病変に対するEUS-FNAは高い正診率が報告され,本邦ではシリンジによる吸引陰圧(suction technique:ST)が一般的に行われている.近年,針のstrokeに合わせて,スタイレットをゆっくりと引き,弱い陰圧をかけるslow pull technique(SP)を用いることによって,血液の混入が少なく,かつ十分な検体量が採取可能であると欧米から報告されている.当科でも2012年5月以降を導入しており,SPとSTの成績を比較・検討した.【対象】当科でFNA検体のpass毎での病理評価を開始した2011年4月以降の全EUS-FNA139病変のうち,悪性と確定診断された膵腫瘍60例,220passを対象に,STとSPを用いたFNAの感度,細胞診検体のcellularityと血液の混入について後ろ向きに検討.【結果】病理診断は,adenocarcinoma54例,内分泌腫瘍6例.平均腫瘍径27mm,病変部位は,頭部17例,体尾部43例.吸引法は,ST42例,SP16例,ST+SP併用2例で,ST149pass,SP71pass施行.穿刺針は19/22/25Gを5/115/100passで使用.細胞診検体のpass毎の検討では,STとSPにおける血液の混入は,(3+)が22%vs.18%(P=0.596),(2+)or(3+)が60%vs.51%(P=0.245)とSTで多い傾向にあり,特に25Gでは(3+)が62%vs.13%(P=0.249)とその傾向を強く認めた.一方でcellularityは,STとSPで,(3+)が3%vs.11%(P=0.021),(2+)or(3+)が75%vs.70%(P=0.513)と,SPでcellularity(3+)の検体が多く得られた.22G・25Gでのcellularityの違いは認めなかった.Pass毎の細胞診の感度は,STとSPで68%vs.66%(P=0.758)と同等であったが,細胞診と組織診を合わせた感度では68%vs.79%(P=0.139)と,SPで組織診による上乗せ効果を認めた.【結語】膵腫瘍に対するFNAにおけるslow pull techniqueは,suction techniqueと比較し血液の混入が少なく,cellularityに富む傾向を認めた.その結果,同等の細胞診の感度が得られ,かつ組織診検体が多く採取できる可能性が示唆された.
索引用語