セッション情報 |
ワークショップ12
胆膵疾患に対するinterventional EUSの現状
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タイトル |
W12-7[追加]:切除可能膵癌に対するEUS-FNAの成績―経乳頭的細胞診・組織診との比較を含めて―
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演者 |
矢根 圭(手稲渓仁会病院消化器病センター) |
共同演者 |
潟沼 朗生(手稲渓仁会病院消化器病センター), 真口 宏介(手稲渓仁会病院消化器病センター) |
抄録 |
【背景と目的】EUS-FNAは2010年に本邦でも保険収載され,組織学的診断法として広く普及しつつあり,当センターでも2009年より切除可能膵癌に対しても,無黄疸例あるいは経乳頭的細胞診・組織診にて診断が得られなかった症例に対して施行している.今回,術前EUS-FNAの成績について検討する.【対象と方法】2009年4月から2012年3月までに当科で診療した膵癌266例のうち術前にEUS-FNAを施行し,切除術を施行した45例を対象とした.平均腫瘍径は29mm(8~75),病変部位は膵頭部26,体尾部19,EUS-FNAから手術までの期間は平均18.4日(3~187).術式はPD 27,DP 17,TP 1,fStageはI 5,II 1,III 19,IVa 17,IVb 3.検討項目は,1)穿刺部位と回数,2)正診率,3)早期偶発症,4)術後経過,とした.また,5)同時期にERCPを先行して施行した40例(膵頭部30,体尾部10,fStage I 2,III 17,IVa 19,IVb 2)での細胞診・組織診の成績,6)早期偶発症,についてもあわせて検討した.【成績】1)穿刺部位は胃20,十二指腸24,胃+十二指腸1,平均穿刺回数は2.5回(1~5).2)細胞診97.7%(43/44),組織診88.9%(40/45),全体で98%(44/45).3)2例(4.4%)に認め,内訳は膵炎1,限局性腹膜炎1であり,いずれも軽症で保存的に改善した.4)観察期間中央値432日(27~1135)で18例に再発(肝転移8,局所再発7,肺転移1,骨転移1,穿刺経路播種1)を認めた.5)細胞診50%(16/32),組織診61.3%(19/31),全体で57.5%(23/40).正診が得られなかった17例中15例に対してFNAを施行し,14例(93.3%)で診断が得られた.6)早期偶発症は6例(13.3%)に認め,膵炎5(中等症1,軽症4),心筋梗塞1であり,膵炎は保存的に改善し,心筋梗塞も緊急PCIおよびICU管理にて改善した.【結論】EUS-FNAは経乳頭的検査に比較して高い正診率と低い偶発症率を示し,有用な検査法と考えられた.ただし,穿刺経路への播種再発例もあり,術前EUS-FNAの施行については予後を含め今後さらに検討する必要がある. |
索引用語 |
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