セッション情報 |
ワークショップ12
胆膵疾患に対するinterventional EUSの現状
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タイトル |
W12-13[追加]:上部消化管再建術後症例に対する超音波内視鏡下順行性アプローチによる胆道疾患治療
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演者 |
岩下 拓司(岐阜大学医学部附属病院第一内科) |
共同演者 |
安田 一朗(岐阜大学医学部附属病院第一内科), 森脇 久隆(岐阜大学医学部附属病院第一内科) |
抄録 |
上部消化管再建術後症例に対する治療的ERCPはときに技術的な困難を伴う.近年,小腸内視鏡を用いたアプローチが試みられ,一定の成果をあげているが,手技的に容易でなく時間を要し,治療成功率も十分とは言えない.一方,近年ERCPに替わる胆道アプローチ法として,超音波内視鏡(EUS)を用いたいくつかの方法が開発されている.【目的】上部消化管再建術後症例に発生した胆道疾患に対するEUS下順行性治療法(EUS-guided antegrade treatments:EUS-AG)の有効性・安全性を評価する.【方法】2012年4月~8月の期間にEUS-AGを試みた全症例のデータをretrospectiveに調査した.EUS-AGは,肝左葉の肝内胆管を挙上空腸もしくは残胃からEUS下に穿刺し,胆汁吸引・胆管造影を行った後,ガイドワイヤーを穿刺針内に通して胆管~乳頭(あるいは吻合部)~腸管内に順行性に進めて留置し,瘻孔部を7Fr.dilatorで拡張した.その後,1:悪性狭窄には順行性にメタリックステントを留置(antegrade biliary stenting:ABS),2:吻合部狭窄に対しては順行性にバルーン拡張(antegrade balloon dilation:ABD)を行い,3:胆管結石症例は,ABD後に採石バルーンで結石を腸管内に押し出した.ABD施行例は経鼻胆管ドレナージ(NBD:naso-biliary drainage)を治療後留置した.【結果】期間中にEUS-AGを試みた症例は6例(胃切除後Roux-en-Y再建4例,膵頭十二指腸切除後Child変法再建2例).対象疾患は胆管結石(疑い)4例,悪性肝外胆管狭窄1例,胆管空腸吻合部狭窄1例.うち胆管結石を疑って行った1例は,EUS下胆管造影で結石を認めず,EUS-AGを施行しなかった.最終的にABS,ABDを各1例,4例に施行し,全例で治療を完遂できた.胆管結石治療を行った1例では計3回の処置を要したが,残り4例は1回で処置を終えることができた.軽症膵炎と軽度の腹痛をそれぞれ1例で認めたが保存的に軽快した.【結語】上部消化管再建術後症例に発生した胆道疾患に対してEUS-AGは有効な治療オプションとなりうる. |
索引用語 |
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