セッション情報 ワークショップ12

胆膵疾患に対するinterventional EUSの現状

タイトル W12-14:

EUS下腹腔内神経叢融解術の成績とその適応

演者 坂本 洋城(近畿大学医学部消化器内科)
共同演者 北野 雅之(近畿大学医学部消化器内科), 工藤 正俊(近畿大学医学部消化器内科)
抄録 【目的】近年,腹部癌性疼痛に対して腹腔神経叢周囲および上腸間膜動脈を超えた部位に薬剤を注入する超音波内視鏡(EUS)ガイド下腹腔神経叢融解術(EUS-CPN)およびEUS下広範囲腹腔内神経叢融解術(EUS-BPN)や,神経節に直接薬剤を注入するEUS下腹腔神経節融解術(EUS-CGN)などの疼痛緩和療法が行われている.今回我々は,こられのEUS下腹腔内神経叢融解術の治療成績およびその効果に影響する要因を検討した.【方法】癌性疼痛を有する手術不能膵癌118症例に対してEUS-CPN,EUS-BPN,EUS-BPNあるいは,それらを合わせたEUS-BPN+CGN,EUS-CPN+CGNを施行した.疼痛の程度はVAS(Visual analog pain scale)を用い11段階に評価し,手技7日後にVASの改善度を測定した.VASの改善度が2以下を無効,3以上を有効とした.また,有効例の中でVASの改善が7以上を著効とした.融解術には水溶性造影剤を含有した純エタノールを用いた.処置後,腹部CT検査を行い腹腔動脈と上腸間膜動脈の各上下左右,合計6領域に分け,薬剤の注入範囲を評価した.検討項目:Stage,腫瘍部位,腫瘍サイズ,腫瘍マーカー,麻薬使用量および薬剤注入部位領域数.【成績】全体の疼痛緩和効果の有効率は80%(有効率;55%,著効率25%)であった.エタノール注入領域が多いほど疼痛緩和効果を認めた.膵頭部癌,腫瘍サイズが30mm以下,エタノール注入領域数が多い場合と麻薬使用量が少ない場合において有意に著効例が多かった.EUS-BPN+CGNが他と比べ,最も良好なVASの改善が得られた.14%(17/118例)に一過性の血圧低下,酌酊および疼痛増強を認めたが,重篤な合併症は認めなかった.【結語】癌性疼痛に対するEUS下腹腔内神経叢融解術は安全かつ有用な手段であった.特にEUS-BPN+CGNが疼痛緩和効果に優れていた.薬剤注入領域と麻薬使用量が疼痛緩和効果の重要な因子であり,膵頭部癌,腫瘍サイズが30mm以下では疼痛緩和効果の著効が期待されると示唆された.
索引用語