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食道

タイトル PL-001:

NERD患者におけるラベプラゾールとイルソグラジンマレイン酸塩の併用効果―プラセボ対照無作為二重盲検比較試験―

演者 鈴木 孝良(東海大学消化器内科)
共同演者 松嶋 成志(東海大学消化器内科), 中島 貴之(東海大学消化器内科), 藤沢 美亜(東海大学消化器内科), 内田 哲史(東海大学消化器内科), 湯原 広樹(東海大学消化器内科), 五十嵐 宗喜(東海大学消化器内科), 小池 潤(東海大学消化器内科), 峯 徹哉(東海大学消化器内科)
抄録 【背景】NERD患者には約半数のPPI治療抵抗例が存在する.近年NERD患者の食道粘膜細胞間隙拡大が報告され,その病態解明において注目されているが,細胞間接着に作用するイルソグラジンマレイン酸塩のNERD患者に対する有用性は明らかでない.【目的】今回プラセボを用い,NERD患者に対するイルソグラジンマレイン酸塩のラベプラゾールとの併用効果の有無を検討する.【方法】FSSG(frequency scale for the symptoms of GERD)が8点以上で,上部消化管内視鏡検査にて食道粘膜にびらんなどの粘膜傷害を認めないNERD患者100例を無作為にA群:ラベプラゾール20mg+イルソグラジンマレイン酸塩4mg,B群:ラベプラゾール20mg+プラゼボに割り付け4週間投与した.イルソグラジンマレイン酸塩とプラセボはいずれもカプセル化することで二重盲検とした.主要評価項目は4週後の自覚症状の変化とし,FSSGを用いて比較検討した.【結果】A群49例(平均年齢51.1±16.4歳,男性13例),B群48例(平均年齢51.1±14.8歳,男性19例)の計97例が解析対象となった.2群間で年齢,性別に差はなかった.治療前FSSGは,A群:17.9±7.9,B群:17.7±7.3で有意差はなく,4週後のFSSGはA群:9.0±7.6,B群11.2±8.6といずれの群も前値に比し明らかに改善していた(p=0.0001).イルソグラジンマレイン酸塩を投与したA群は,プラセボ群(B群)に比しFSSGのさらなる改善傾向を認めたが,統計学的有意差はなかった.さらに,酸逆流関連症状と運動不全症状の項目別に検討したが,いずれも同様の結果であった.【結論】NERD患者におけて,ラベプラゾールにイルソグラジンマレイン酸塩を併用することの有用性は今回の検討では明らかとならなかった.
索引用語