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食道

タイトル PL-002:

高齢者GERD維持療法におけるプロトンポンプ阻害剤および消化管運動賦活剤併用療法の有効性

演者 鈴木 隆裕(京都第一赤十字病院消化器内科)
共同演者 寺崎 慶(京都第一赤十字病院消化器内科), 陶山 遥介(京都第一赤十字病院消化器内科), 豊川 優季(京都第一赤十字病院消化器内科), 中野 貴博(京都第一赤十字病院消化器内科), 田中 信(京都第一赤十字病院消化器内科), 間嶋 淳(京都第一赤十字病院消化器内科), 川上 巧(京都第一赤十字病院消化器内科), 世古口 悟(京都第一赤十字病院消化器内科), 戸祭 直也(京都第一赤十字病院消化器内科), 中村 英樹(京都第一赤十字病院消化器内科), 佐藤 秀樹(京都第一赤十字病院消化器内科), 奥山 祐右(京都第一赤十字病院消化器内科), 木村 浩之(京都第一赤十字病院消化器内科), 吉田 憲正(京都第一赤十字病院消化器内科)
抄録 【目的】GERD初期治療のみならず,再発抑制のための長期維持療法にもプロトンポンプ阻害剤(PPI)が第一選択として推奨されている.一方,食道運動機能低下やヘルニアなどを有する高齢者において,PPI半量投与による酸分泌抑制のみでは再発が少なくない.今回,PPI常用量での治療期終了後の維持期でPPI半量単独投与またはPPI半量に消化管運動賦活作用のあるクエン酸モサプリドを併用し,GERDの再発に関する比較検討を行った.【方法】ロサンゼルス分類(LA-O,A,B)の軽症GERD患者にPPIを8週間投与し,内視鏡所見がLA-Oかつ症状の改善した63症例を対象とした.無作為に2群(PPI単独群:ランソプラゾール15mg投与群,併用群:ランソプラゾール15mgとクエン酸モサプリド150mg投与群)に割り付け,12ヶ月間経過観察し再発率を検討した.【結果】維持療法開始12ヶ月後,併用群の再発率は18.8%(6/32)であり,単独群の再発率48.4%(15/31)に比べ有意に低かった.特に,65歳以上の高齢者においては,併用群は17.4%(4/23)であり,単独群54.2%(13/24)に比べ有意に低かった.さらに再発率の高かった単独群における維持療法前のGSRSでは,便秘スコアは,再発なし群1.56±0.43に対し,再発群は2.71±1.25,下痢スコアは,再発なし群1.20±0.36に対し,再発群は1.71±0.68と両スコアで再発群が有意に高かった.【結論】ランソプラゾール単独群に比べ,ランソプラゾールとクエン酸モサプリドの併用群ではGERDの再発が有意に抑制され,特に65歳以上の高齢者に有効性が高かった.また,GERD患者に維持療法行う際には,便秘や下痢症状などを有する症例に対しPPI半量単独療法では再発する可能性が高いことが予想される.PPIと消化管運動賦活薬の併用は,高齢者でのGERD長期維持療法における再発抑制に有効な治療法であると考えられた.
索引用語