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タイトル PL-007:

機能性ディスペプシア患者における空腹感スコアとGHRL遺伝子多型との相関関係の検討

演者 二神 生爾(日本医科大学消化器内科)
共同演者 山脇 博士(日本医科大学消化器内科), 新福 摩弓(日本医科大学消化器内科), 名児耶 浩幸(日本医科大学消化器内科), 小高 康裕(日本医科大学消化器内科), 進藤 智隆(日本医科大学消化器内科), 楠 正典(日本医科大学消化器内科), 植木 信江(日本医科大学消化器内科), 河越 哲郎(日本医科大学消化器内科), 坂本 長逸(日本医科大学消化器内科)
抄録 我々は健常者64名とFD74名とを比較しghrelinおよびghrelinの前駆体であるpreproghrelinの遺伝子多型を調べ,胃排出能および臨床症状や空腹感のスコアに相関が認められるのか検討したところ,興味深い結果が得られたので,報告する.(方法)Rome-III基準を満たすFD患者74名と健常者群64名を対象とした.症状は悪心・上腹部腹満感など6つの腹部症状をスコア化した.胃運動能の評価には13C-acetate呼気試験法を用いた.Ghrelin(rs:34911341)とpreproghrelinの遺伝子多型(A,B,C)はTaqMann法を用いて測定した.(結果)胃排出能の指標であるTmax値と空腹感のスコアとの間の相関関係は健常者群(p=0.831)でもFD患者群(p=0.589)でも有意な関係は認めなかった.また,空腹感とghrelinの遺伝子多型との間の関係は健常者群(p=0.987)およびFD患者群(p=0.746)ともに有意差を認めなかった.また,preproghrelinの遺伝子多型(A)においては,空腹感のスコアとの間に,健常者群(p=0.245),FD患者群(p=0.986)ともに有意差を認めなかったが,preproghrelinの遺伝子多型(B)および(C)においては,健常者群では空腹感のスコアとの間に有意差(p=0.042;B,p=0.049;C)を認めたものの,FD患者においてはいずれも有意差を認めなかった(p=0.087;B,p=0.419).そこで,健常者群で空腹感のスコアに関して有意な差を認めた,2つのpreproghrelinの遺伝子多型についてTmaxとの間の相関を調べたがpreproghrelinの遺伝子多型(B)と(C)ともに,Tmaxとの相関関係は健常者群(p=0.649;B,p=0.989;C)でもFD群(p=0.228;B,p=0.742;C)でも有意差は認めなかった.(結語)preproghrelinのBおよびCの遺伝子多型はFD群,健常者群の両群で空腹感のスコアとの関連で有意な差異が認められた.FD患者の摂食習慣や臨床症状の形成に繋がるものか更なる検討が必要と思われた.
索引用語