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タイトル PL-010:

H. pylori IgG抗体価陰性かつ血清ペプシノゲン値陰性早期胃癌ESD症例の検討

演者 三浦 公(岡山大学病院消化器内科)
共同演者 岡田 裕之(岡山大学病院光学診療部), 神埼 洋光(岡山大学病院消化器内科), 小林 沙代(岡山大学病院消化器内科), 堀 圭介(岡山大学病院消化器内科), 喜多 雅雄(岡山大学病院光学診療部), 筑木 隆雄(岡山大学病院消化器内科), 松原 稔(岡山大学病院消化器内科), 川野 誠司(岡山大学病院光学診療部), 那須 淳一郎(岡山大学病院光学診療部), 河原 祥朗(岡山大学病院光学診療部), 田中 健大(岡山大学病院病理診断部), 山本 和秀(岡山大学病院消化器内科)
抄録 【目的】近年H. pylori抗体価とペプシノゲン(PG)値を用いた検診(ABC検診)は有用であるとされ,H. pylori IgG抗体価陰性かつ血清PG値陰性であった症例群(A群)は胃癌を発症する可能性は非常に低いと考えられている.今回早期胃癌ESD症例のうち,H. pylori IgG抗体価陰性かつ血清PG値陰性症例について,背景胃粘膜等を含め検討をおこなった.
【方法】対象は2007年1月から2012年7月まで術前に3点の背景胃粘膜生検をおこなったうえで早期胃癌に対しESDをおこなった症例140例中,H. pylori IgG抗体価陰性かつ血清PG値陰性であった32例.H. pylori IgG抗体価は10U/ml未満を陰性とし,血清PG値はPG1>70ng/mlまたはPG1/2比>3を陰性とした.背景胃粘膜生検は前庭部大彎,体中部小彎,体中部大彎から生検をおこない,updated Sydney Systemに準じてH. pylori,細胞浸潤,萎縮,腸上皮化生について評価した.
【結果】32例中,生検組織からH. pyloriが検出された症例は3例であり,H. pylori IgG抗体価はそれぞれ3未満U/ml,6U/ml,8U/mlであった.30例には萎縮性変化があり,そのうち13例は高度の萎縮を伴っていた.腸上皮化生は26例に認めていた.また,21例に炎症細胞浸潤があった.H. pylori,炎症細胞浸潤,萎縮,腸上皮化生いずれも認めず,H. pyloriが関与していないと考えられる症例は1例のみであった.
【結論】H. pylori IgG抗体価陰性かつ血清PG値陰性であった症例群(A群)は胃癌の超低リスク群とされる.しかし,早期胃癌ESD患者からみると,A群に当てはまる症例を約20%に認めた.ABC検診では拾い上げの不可能な症例が多数存在すると考えられ,今後検討が必要と考えられた.
索引用語