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タイトル PL-011:

切除不能胃癌に対する化学療法施行後,Down stageのため切除の対象となった症例の検討

演者 西村 賢(神奈川県立がんセンター消化器内科)
共同演者 中山 昇典(神奈川県立がんセンター消化器内科), 高木 精一(神奈川県立がんセンター消化器内科), 井口 靖弘(神奈川県立がんセンター消化器内科), 本橋 修(神奈川県立がんセンター消化器内科), 長 晴彦(神奈川県立がんセンター消化器外科), 吉川 貴己(神奈川県立がんセンター消化器外科), 円谷 彰(神奈川県立がんセンター消化器外科)
抄録 【背景】最近では切除不能胃癌に対して多剤併用療法が盛んに行われるようになり,著効例ではまれに臨床診断で根治切除の対象となることがある.そのような場合,salvage surgeryを行うことも可能であるが,そのタイミング・効果・安全性は不明である.【対象と方法】当院で2001年4月から2011年4月までに原発巣を有する切除不能胃癌と診断され,化学療法を行い臨床的に根治切除の対象となった症例を対象とし,その患者背景,治療成績,生存期間などの検討を行った.【結果】化学療法を行った318例中,切除可能となったのは30例(9.4%)であった.その患者背景は年齢が47-79歳(中央値59歳),男性/女性 20/10,切除不能因子は腹水や腹膜転移が17例,リンパ節が16例,T4が3例,肝転移が3例であった.初回化学療法のRegimenはS-1+CDDP(+TSU)が12例,DCSが9例,S-1+DOCが3例,5-FUが2例,S-1が1例,CPT-11+CDDPが1例,FLTAXが1例であった.30例中21例でsalvage surgeryが行われ,手術根治度A/Bが78.9%(17/21),薬物の組織学的奏功(Gr 1b以上)が73.7%(16/21)であった.術後合併症はGr3腹腔内膿瘍を1例,G2膵液瘻を2例,G2創感染を1例に認めたが,手術関連死亡はなく,術後150日以内の早期に原病の悪化により死亡したのが2例であった.術後補助化学療法は61.1%(9/17)に行われ,術後1年以上経過して再発していないのは17.6%(3/17)であった.手術施行群の無再発生存期間中央値は356日(182-530)で,全生存期間の中央値は手術施行群が1384日,化学療法継続群が872日(P=0.476)であった.【結論】今後も多剤併用療法の進歩と新規抗癌剤の出現により,このような症例は増加することが考えられる.その一方でsalvage surgeryの効果・安全性は確立されておらず,早急に検証が望まれる.現在,我々は多施設共同のobservational cohort studyを施行中である.
索引用語