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タイトル PL-012:

新規免疫療法による進行胃癌に対する分子標的薬の抗腫瘍効果増強への試み

演者 岡山 哲也(京都府立医科大学消化器内科)
共同演者 石川 剛(京都府立医科大学消化器内科), 吉田 直久(京都府立医科大学消化器内科), 鎌田 和浩(京都府立医科大学消化器内科), 堅田 和弘(京都府立医科大学消化器内科), 坂元 直行(京都府立医科大学消化器内科), 内山 和彦(京都府立医科大学消化器内科), 高木 智久(京都府立医科大学消化器内科), 半田 修(京都府立医科大学消化器内科), 小西 英幸(京都府立医科大学消化器内科), 八木 信明(京都府立医科大学消化器内科), 出野 美津子(タカラバイオ), 加藤 彰子(タカラバイオ), 榎 竜嗣(タカラバイオ), 峰野 純一(タカラバイオ), 古倉 聡(京都府立医科大学消化器内科), 内藤 裕二(京都府立医科大学消化器内科)
抄録 【目的】現在HER2陽性胃癌はトラスツズマブ併用療法が標準治療であるが効果は依然限定的である.分子標的薬は多彩なメカニズムを有するが,トラスツズマブなどIgG1が基本骨格の薬剤はFcレセプターを介する抗体依存性細胞傷害(ADCC)が重要であると思われる.現在我々は高純度NK細胞療法の第1相の臨床試験を行っている.NK細胞はFcレセプターを有するため,IgG1骨格抗体薬の作用増強が期待される.以前の検討にて,PBMCによる抗体薬のADCCについて良好な結果を得ているが,今回確立した新たな培養方法による高純度NK細胞を用いてトラスツズマブの効果増強の検討を行った.【方法】高純度NK細胞はPBMCを材料として,ヒトフィブロネクチン組換え蛋白のRetroNectinなどを用いて拡大培養して獲得した.このNK細胞を用いてin vitroでHER2陽性胃癌細胞株NCI-N87細胞への細胞傷害活性を測定した.またNCI-N87細胞を免疫不全マウスに皮下接種し,高純度NK細胞を尾静脈より投与,更にトラスツズマブ投与群に対しては腹腔内へのトラスツズマブ投与を行いin vivoでの抗腫瘍効果を検討した.【結果】NK細胞は3週間の培養で約1000倍に増殖し,純化工程を経て99%以上の超高純度NK細胞が獲得できた.得られたNK細胞は機能性マーカーのNKG2DやCD16の発現も高く,NCI-N87細胞への細胞傷害活性もトラスツズマブ併用で効果の増強を認めた.in vivoでの検討ではNK細胞とトラスツズマブ併用群において各単独治療に比較し抗腫瘍効果の増強を認めた.【結語】現在第1相臨床試験中の高純度NK細胞療法は,HER2陽性胃癌の標準治療であるトラスツズマブと併用することにより,臨床においても更なる治療効果増強が得られるものと期待され,分子標的薬と免疫療法の併用は進行胃癌に対する新たな治療戦略となる可能性があると考える.
索引用語