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肝癌

タイトル PL-020:

非多血性肝細胞癌に対するRFAの治療成績~多血性肝細胞癌と比較して~

演者 坂本 梓(大阪赤十字病院消化器内科)
共同演者 木村 達(大阪赤十字病院消化器内科), 大崎 往夫(大阪赤十字病院消化器内科)
抄録 【はじめに】Gd-EOB-DTPA造影MRIの登場により,非多血性肝細胞癌(以下非多血性HCC)結節に遭遇する頻度が増加し,同時に経過観察するとそれらの多くは多血化することが報告されている.しかし,非多血性HCCへの早期治療介入が予後の改善につながるか否かは明らかにされていない.【目的】非多血性HCCの治療成績を多血性HCCの治療成績と比較し,非多血性HCCへの早期治療介入が予後の改善に寄与するか否かを検討する.【対象および方法】2004年から2011年の間に当院にてRFAを施行した3cm以下の初発単発肝細胞癌339例のうち,根治的RFAが施行でき,RFA後経過観察が可能であった212例を対象とし,多血性・非多血性別に,局所再発,異所再発,全生存率を検討した.多血性・非多血性の判定は全例血管造影下CTにて行った.非多血性HCCは全例肝生検を施行し病理組織学的に確認した.再発はdynamic CT,MRIで新たな多血性病巣の出現と定義した.【成績】平均年齢70.0±8.8歳,平均腫瘍径2.0±0.6cm,多血性/非多血性:182/30例,平均観察期間50.0±22.9ヶ月であった.RFA後1/2/3年の局所再発率は,多血群の6.4/18.5/28.4%,非多血群0/5.7/15.7%で,両群に差を認めなかった(p=0.227:Log-rank).非多血性HCCのRFA後に多血性局所再発を3例に生じた.異所再発率,全生存率においても両群間に有意差を認めなかった(p=0.345,p=0.633:Log-rank).【考案】非多血性HCCにおいては,主結節周囲の微小転移がないため,RFA後の局所再発のリスクは低いことが期待される.しかし,今回の検討では,非多血性HCCは多血性HCCと同等の局所再発を認めた.その理由として,被膜を欠くため非腫瘍部との境界が不明瞭なことや,術後の治療効果判定が困難なことが局所遺残再発の誘因となったものと考えられた.また,比較的短期間に多血再発を生じた理由として,RFAにより遺残した腫瘍細胞に脱分化が生じた可能性も示唆された.非多血性HCCに対する早期治療介入の是非やタイミングについては,引き続き検証していく必要がある.
索引用語