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肝癌

タイトル PL-023:

TACE不応の進行肝細胞癌に対する肝動注化学療法の位置付け

演者 西野 謙(川崎医科大学総合内科2)
共同演者 川中 美和(川崎医科大学総合内科2), 浦田 矩代(川崎医科大学総合内科2), 岡 好仁(川崎医科大学総合内科2), 中村 純(川崎医科大学総合内科2), 後藤 大輔(川崎医科大学総合内科2), 末廣 満彦(川崎医科大学総合内科2), 河本 博文(川崎医科大学総合内科2), 山田 剛太郎(川崎医科大学総合内科2)
抄録 【目的】TACE不応の進行肝細胞癌(HCC)に対するIFN併用5FU肝動注化学療法(5FU/IFN)の治療効果につき解析を行い,その位置付けにつき検討した.
【方法】2000年4月から2011年3月に当科で5FU/IFNを開始した進行HCC 66例を対象とした.TACE不応の定義は日本肝臓学会編肝癌診療マニュアル第2版に準拠した.5FU/IFNプロトコルとしては,前半2週間は5FUの肝動注+IFN皮下注を併用,後半2週間はIFN皮下注のみとした全4週を1クールとし,有効な場合は継続した.各クール終了時に造影CT/MRIを用いて画像評価を行い,治療評価はRECIST Ver 1.1を用いた.5FU/IFN治療にTACE不応が与える影響につき,TACE不応で脈管浸潤を伴う例をA群,TACE不応で脈管浸潤を伴わない群をB群,それ以外の初回治療群やTACE不応の定義に当てはまらない群をC群とし,TACE不応の有無別(A+B vs C)や,各群間(A vs B vs C)での解析をおこなった.
【成績】全66例中,A群は11例,B群は22例,C群は33例であった.5FU/IFNの治療効果は,CR 7例・PR 16例・SD 21例・PD 22例であり,奏功率は34.8%(23/66)であった.TACE不応例(A+B群)では奏効率24.2%(8/33)であり,C群の奏効率45.5%(15/33)に比しやや効果不良の傾向があった(P=0.0689).ただ,各群での奏効率を見ると,A群では45.5%(5/11),B群では13.6%(3/22),C群では45.5%(15/33)であり,B群はA群やC群に比し有意に効果不良因子であった(P=0.0276).
【結論】TACE不応の進行HCCは,5FU/IFN治療での治療効果がやや低い傾向にあるが,TACE不応の中でも脈管浸潤を伴う症例の奏効率は45.5%と決して低くはなく,TACE不応であっても症例によっては5FU/IFNを先行投与するのも一考と思われた.
索引用語