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大腸 IBD 1

タイトル PL-027:

粘膜PCRでみたステロイド非投与の潰瘍性大腸炎のcytomegalovirus再活性化率とIntensiveGMAの治療成績

演者 福知 工(大阪府済生会中津病院消化器内科)
共同演者 生方 聡史(大阪府済生会中津病院消化器内科), 江口 考明(大阪府済生会中津病院消化器内科), 黒澤 学(大阪府済生会中津病院消化器内科), 上田 綾(大阪府済生会中津病院消化器内科), 古賀 英彬(大阪府済生会中津病院消化器内科), 蘆田 潔(大阪府済生会中津病院消化器内科)
抄録 【目的】cytomegalovirus(CMV)は潰瘍性大腸炎(UC)の増悪因子として知られるが,いつ再活性化するか明らかでなく抗ウィルス療法を行うかも確立していない.CMVの診断は最近ECCOガイドラインで炎症粘膜のPCRが推奨されている.今回,活動期UCでCMV再活性化を評価しIntensiveGMAの治療成績を評価した.【方法】対象はステロイド非投与の活動期UC51例である.(1)炎症粘膜のPCRと免疫染色,血清,antigenemiaでCMV再活性化を判定しCMV陽性群とCMV陰性群を疫学的に比較した.(2)CMV陽性でも抗ウィルス療法を行わず全例IntensiveGMA(2sessions/週×5週)を行い2週毎に寛解導入率を比較した.(3)GMA終了後に大腸内視鏡を行い両群間の平均Mayo-ES,粘膜治癒(Mayo-ES=0,1)率を比較した.(4)CMV陽性群で陰性化率も評価した.【結果】(1)CMV陽性群は29.4%(15例)で全例で粘膜PCRは陽性であったが,そのうち免疫染色で3例,antigenemiaで1例陽性であったのみであった.年齢,性別,病変範囲,CAI,Mayo-ESは両群間に有意差なく,CMV陽性群で深掘れ潰瘍を有する患者は1例のみであった.CMV陽性群で初発患者が多いため罹患期間が有意に短く,thiopurineの使用率が有意に高かった.(2)IntensiveGMAの寛解導入率(CMV陽性群vs陰性群)は2週間後(53.3%vs52.7%),4週間後(73.3%vs69.4%),6週間後(73.3%vs77.8%)でどの時期も有意差はなかった.(3)平均Mayo-ES(2.27%vs2.31),粘膜治癒率(66.7%vs69.4%)であり,有意差はなかった.(4)CMV陽性群15症例中11例で10例粘膜治癒していたが全11例でCMV陰性化していた.寛解しなかった4例は粘膜治癒せずCMV陽性のままであった.【結論】UCではステロイド非投与でも初発でも粘膜PCRでみるとCMV再活性化が起こっている場合があり,内視鏡等で区別は困難である.IntensiveGMAはCMVに関係なく良好な成績でUCを寛解導入,粘膜治癒させ得る.今回の疫学的な成績からthiopurineもCMV再活性化を増悪させない可能性がある.
索引用語