セッション情報 プレナリー セッション

大腸 IBD 1

タイトル PL-028:

サイトメガロウイルス抗原陽性及び陰性UC症例の内科的治療法と長期手術率

演者 井口 俊博(岡山大学病院消化器内科)
共同演者 平岡 佐規子(岡山大学病院消化器内科), 加藤 順(和歌山県立医科大学2内科), 半井 明日香(岡山大学病院消化器内科), 鈴木 英之(岡山大学病院消化器内科), 秋田 光洋(岡山大学病院消化器内科), 高橋 索真(岡山大学病院消化器内科), 原田 馨太(岡山大学病院光学医療診療部), 岡田 裕之(岡山大学病院光学医療診療部), 山本 和秀(岡山大学病院消化器内科)
抄録 【背景】サイトメガロウイルス(CMV)活性化を伴ったUC急性増悪を時に経験するが,CMV活性化状態での標準的内科的治療法は確立しておらず,UCの手術率に影響があるか否かも明らかにされていない.【目的】UC急性増悪時におけるCMV antigenemia(Ag)陽性群(以下A群)及び陰性群(以下B群)の内科的治療法,手術率について検討した.【方法】2002年4月から2011年11月の期間に当院で治療したUC急性増悪のうち,CMV Agを測定した120例(初発,再燃共に含む,男:58例,年齢38(12-87)歳)を対象に内科的治療法,手術率についてretrospectiveに検討した.【結果】A群:B群=40例:80例,観察期間35(0.8-118)ヵ月であった.治療はA群では27例にGCVが投与され,PSLは投与されていた38例中33例に減量が行われていた.その他は患者の状態に応じて適宜CAP,CNIs,抗TNFα抗体などが使用された.短期での寛解導入までの期間はA群で有意に長かった(平均40日vs. 30日,p<0.005).また寛解導入後1年以内での再燃率は有意差ないもののA群のほうが高率であった(40% vs. 29%,p=0.35).しかし長期の手術率はA群とB群との間に有意差は認められなかった(Log-rank test,p=0.80).手術となる因子の解析ではCMV Agの有無は多変量解析でも有意な因子ではなかった.A群のみでの検討では,初期治療でのGCV投与が手術リスク軽減の有意な因子として挙げられた(OR=0.04;95%CI:0.01-0.50,p=0.01).【考察】UC急性増悪においてCMV Ag陽性は寛解導入困難や再燃のリスクとなりうるが,手術率の上昇には寄与しなかった.CMV Ag陽性でも適切な治療を行うことで手術リスクの軽減が可能であり,特に早期のGCV投与が重要である.
索引用語