セッション情報 |
プレナリー セッション
大腸 IBD 1
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タイトル |
PL-030:難治性潰瘍性大腸炎患者に対する経口tacrolimus療法寛解予測因子の検討
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演者 |
峯村 荘子(千葉大学医学部付属病院消化器内科) |
共同演者 |
勝野 達郎(千葉大学医学部付属病院消化器内科), 横須賀 收(千葉大学医学部付属病院消化器内科) |
抄録 |
【目的】難冶性活動期潰瘍性大腸炎に対して3ヶ月間の経口tacrolimus(TAC)投与が認可されているが,寛解導入が得られず外科的治療が検討される症例も少なくない.今回我々は,経口TAC療法を開始した症例において,開始後2週間の時点で3ヶ月後の寛解予測ができるかを検討した.【方法】対象は2009年7月から2012年4月までに当院にて経口TACを開始した中等症から重症の難治性潰瘍性大腸炎36例.TACは0.05mg/kg/回で開始し,2週間の高トラフ継続により寛解に至った症例は,低トラフを3ヶ月めまで維持した.高トラフの継続限度は4週間とした.3ヶ月経過時点で低トラフかつLIC≦4となった症例を寛解と定義し,これを満たさない症例,infliximab開始症例,colectomy症例を非寛解と定義した.【結果】対象症例の内訳は,平均年齢41歳(21-66歳),男性:女性=15:21例,ステロイド依存性:抵抗性=24:12例であった.治療直前の平均LICは9.4点(6-17点).3ヶ月経過時点の寛解:非寛解=19:17例であった.寛解/非寛解群に分け単変量解析で有意差を持った項目は,投与直前の排便回数(p=0.015),投与直前のLIC(p=0.046),2週間目の排便回数(p=0.017),2週間目のPlt(p=0.009)などであった.これらを用いて多重ロジスティック解析を行ったところ,BM(0)(直前の排便回数)とPlt(2)(2週間目の血小板数)とΔCRP(2週目のCRP-直前のCRP)が因子として抽出され,回帰式[49.0-1.7×BM(0)-1.3×Plt(2)-2.7×ΔCRP>0]を満たした時に,3ヶ月後の寛解が予測できると算出された.精度は陽性適中率94.7%,陰性的中率82.4%,正診率88.9%であった.【結論】臨床症状および一般血液検査で得られるシンプルな臨床項目を用いることで,TAC開始2週間の時点で3ヶ月後の寛解状態を高い正診率で予測できることが分かった.非寛解と予測された症例は早期に外科へのコンサルトを行うなど,症例ごとの客観的な治療効果予測は内科的治療から外科的治療へのスムーズな移行にも有用であると考察した. |
索引用語 |
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