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大腸 IBD 1

タイトル PL-031:

回腸嚢関連合併症を併発した潰瘍性大腸炎症例に対する回腸嚢肛門(管)吻合術再施行例の術後経過

演者 杉田 昭(横浜市民病院外科)
共同演者 小金井 一隆(横浜市民病院外科), 辰巳 健志(横浜市民病院外科), 二木 了(横浜市民病院外科), 黒木 博介(横浜市民病院外科), 山田 恭子(横浜市民病院外科), 中尾 紗由美(横浜市民病院外科), 荒井 勝彦(横浜市民病院外科), 木村 英明(横浜市大市民総合医療センター炎症性腸疾患センター), 鬼頭 文彦(横浜市民病院外科), 福島 恒男(松島クリニック)
抄録 【目的】潰瘍性大腸炎では回腸嚢肛門(管)吻合術後に縫合不全をはじめとする回腸嚢関連合併症を生じる症例がある.これらの症例に対して再施行した回腸嚢肛門(管)吻合術の術後経過とその位置づけを検討した.【対象】2011年までに当院で回腸嚢肛門(管)吻合術を行った潰瘍性大腸炎934例のうち,回腸嚢関連合併症のために回腸嚢肛門(管)吻合術を再施行した6例(0.6%)の初回手術術式は回腸嚢肛門吻合術2例(再手術の適応:吻合部会陰瘻1例,吻合部膣瘻1例)と回腸嚢肛門管吻合術4例(再手術の適応:晩期縫合不全1例,残存肛門管膣瘻1例,吻合部膣瘻1例,捻転による回腸嚢壊死1例)であった.再施行後経過期間は38.5カ月(中央値,21-114)であった.【結果】1.手術術式:回腸嚢壊死の1例には再度,回腸嚢肛門管吻合術を施行,残りの5例には肛門管粘膜抜去を伴う回腸嚢肛門吻合術を行った.2.術後経過:吻合部会陰瘻,晩期縫合不全で回腸嚢肛門吻合術を再施行した2症例はそれぞれ,回腸嚢会陰瘻,再度の縫合不全を併発,両者とも回腸嚢,肛門切除,回腸人工肛門造設術を必要とした.吻合部膣瘻で回腸嚢肛門吻合術を再施行した1例は肛門からの粘液漏出のため人工肛門閉鎖が不可能であった.残り3例の回腸嚢肛門(管)吻合術再施行例では縫合不全はなく,通常の社会生活を送っていた.回腸嚢肛門(管)吻合術再施行6例は全例,社会復帰していた.【結論】回腸嚢関連合併症を併発した潰瘍性大腸炎症例に対する回腸嚢肛門(管)吻合術再施行術では自然肛門温存率は50%と低く,これらの合併症の予防が重要である.回腸嚢肛門(管)吻合術の再施行が有効である症例も少なくないことから,本術式が可能な症例には積極的に考慮すべきである.
索引用語