セッション情報 プレナリー セッション

大腸 IBD 2

タイトル PL-032:

原発性硬化性胆管炎合併した潰瘍性大腸炎の臨床的検討

演者 奈良 志博(東北大学大学院消化器病態学分野)
共同演者 遠藤 克哉(東北大学大学院消化器病態学分野), 川上 遥子(東北大学大学院消化器病態学分野), 平本 圭一郎(東北大学大学院消化器病態学分野), 松下 勝則(東北大学大学院消化器病態学分野), 宮澤 輝子(東北大学大学院消化器病態学分野), 下平 陽介(東北大学大学院消化器病態学分野), 長澤 仁嗣(東北大学大学院消化器病態学分野), 諸井 林太郎(東北大学大学院消化器病態学分野), 志賀 永嗣(東北大学大学院消化器病態学分野), 高橋 成一(東北大学大学院消化器病態学分野), 木内 喜孝(東北大学大学院消化器病態学分野), 下瀬川 徹(東北大学大学院消化器病態学分野)
抄録 【背景】原発性硬化性胆管炎(PSC)は自己免疫性疾患を合併する事が多く,欧米では約70%に,本邦でも約30%に潰瘍性大腸炎(UC)を合併するとされる.逆にUCの約5%にPSCの合併がみられるが,PSCを合併したUCでは,臨床的特徴がPSC非合併例と異なることが知られている.【目的】PSCを合併したUCの臨床的特徴を明らかにすること.【方法】2001年から2012年8月31日までの間,当院におけるPSCを合併したUC患者16名を対象とし,臨床経過や内視鏡所見等の臨床的特徴につき,retrospectiveに検討を行う.【結果】・男女比12:4で男性優位であった.UC診断時の平均年齢は33.9±14.2歳であった.・罹患範囲が判明した13例中12例が全大腸炎型,1例が左側大腸炎型であった.・全大腸炎型の12例中7例で,右半結腸優位に炎症がみられた.・初診時の内視鏡的重症度は13例中9例が軽度,4例が中等度であった.軽度の9例中,内視鏡的に直腸に炎症がみられたのは2例のみであったが,中等度では3例であった.・初回の内視鏡的活動性が軽度であった9例中2例が後日,中等度となったが,初診時にはみられなかった直腸の内視鏡的炎症所見が確認された.・16例中9例でPSC発症後にUCが診断され,7例でUC発症後にPSCが診断された.PSC発症後にUCの診断となった9例中8例は無症状で,スクリーニングにて発見された.・経過中に16例中3例がUCの増悪にて入院となったが,その際PSCの増悪はみられなかった.・経過中に大腸癌を発生した症例はなかった.【結論】PSC合併のUCの特徴を検討した.既報の如く,男性優位で全大腸炎型が多く,右半結腸の炎症が強い傾向がみられた.内視鏡的活動性が低い症例では,直腸に内視鏡的炎症所見がみられない傾向があった.また,UCの活動性とPSCの重症度には明らかな関連はみられなかった.
索引用語