セッション情報 プレナリー セッション

大腸 IBD 2

タイトル PL-033:

当院における炎症性腸疾患患者の臨床経過と妊娠出産の関連に関する検討

演者 宮嵜 孝子(大阪市立大学消化器内科学)
共同演者 渡辺 憲治(大阪市立大学消化器内科学), 森本 謙一(大阪市立大学消化器内科学), 野口 篤志(大阪市立大学消化器内科学), 鎌田 紀子(大阪市立大学消化器内科学), 十河 光栄(大阪市立大学消化器内科学), 山上 博一(大阪市立大学消化器内科学), 永見 康明(大阪市立大学消化器内科学), 杉森 聖司(大阪市立大学消化器内科学), 谷川 徹也(大阪市立大学消化器内科学), 斯波 将次(大阪市立大学消化器内科学), 渡辺 俊雄(大阪市立大学消化器内科学), 富永 和作(大阪市立大学消化器内科学), 藤原 靖弘(大阪市立大学消化器内科学), 荒川 哲男(大阪市立大学消化器内科学)
抄録 【目的】炎症性腸疾患(IBD)の好発年齢から妊娠出産は重要な課題だが,国内報告は少ない.当院IBD患者の妊娠出産例を検討した.【方法】2001年4月~2012年3月に当科でIBD(潰瘍性大腸炎(UC),クローン病(CD))で診療し,当院産科で出産した計43分娩を対象に,IBDの治療内容や活動性(UC:partial Mayo score 2以下を寛解,CD:Harvey-Bradshaw index 3以下を寛解),妊娠出産異常(低出生体重児,早産,胎児発育不全,先天奇形,帝王切開のいずれかを認める例)の関連を検討した.【結果】UC合併出産計30回の妊娠時活動性は,寛解期26回(86.6%)で経過中再燃率が38.5%(10回),活動期4回(13.3%)で経過中寛解導入率が25.0%(1回)だった.妊娠判明後に治療減弱した例はしなかった例に比べ,再燃率上昇はなかったが,一旦再燃すると活動性が有意に高かった(p=0.003).CD合併出産計13回の妊娠時活動性は,寛解期12回で経過中再燃率が16.7%(2回),活動期1回(経過中に寛解導入)だった.妊娠出産異常をUC8回(26.6%),CD6回(46.1%)認めた.正常群と異常群の間で妊娠前や経過中のIBD活動性,帝王切開(UC4例,CD5例)に差を認めなかったが,UCは治療内容に有意差(p=0.029)を認め,5-ASA投与が異常群に少なかった.IFX投与CD3例は全例母子共に異常を認めなかった.【結論】IBDの活動性と妊娠出産異常に関連は認めなかった.UCは妊娠判明後に治療減弱しても再燃率上昇はないが,一旦再燃すると有意に活動性が高くなり,妊娠出産異常例では5-ASA投与例が少なかったことからも,安全性が高い薬剤は妊娠後も治療は減弱すべきでないと思われた.
索引用語