セッション情報 | プレナリー セッション大腸 IBD 2 |
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タイトル | PL-034:クローン病血栓合併例の特徴と臨床経過 |
演者 | 黒木 博介(横浜市立市民病院外科) |
共同演者 | 小金井 一隆(横浜市立市民病院外科), 辰巳 健志(横浜市立市民病院外科), 二木 了(横浜市立市民病院外科), 中尾 紗由美(横浜市立市民病院外科), 山田 恭子(横浜市立市民病院外科), 荒井 勝彦(横浜市立市民病院外科), 木村 英明(横浜市大市民総合医療センター炎症性腸疾患センター), 杉田 昭(横浜市立市民病院外科), 鬼頭 文彦(横浜市立市民病院外科), 福島 恒男(松島クリニック) |
抄録 | クローン病(以下,CD)患者では静脈血栓塞栓症のリスクが健常人よりも高く,治療に難渋する場合がある.今回は血栓を合併したCD症例の臨床経過を明らかにする目的で以下の検討を行った.【対象】当院で血栓の治療中,または過去に加療を行ったCD13例で,血栓診断後観察期間は平均41か月(12~96)であった.【方法】血栓合併例の臨床学的背景,予後を検討する.【結果】男性9例,女性4例,小腸大腸型11例,小腸型2例,CD発症時年齢23歳,血栓発症時年齢は37歳であった.診断は造影CT検査または超音波検査で行い,血栓形成部位は内頚~鎖骨下静脈(腕頭静脈含む)7例,上大静脈3例,門脈1例,左心房内1例,大腿静脈1例であった.血栓診断の直前に中心静脈カテーテルまたはポート(以下,CVC)が11例に挿入されており,いずれも血栓診断前にカテーテル感染が疑われた.CVCを挿入しなかった2例中門脈と大腿静脈に血栓形成し,1例は抗リン脂質抗体症候群を合併していた.CVC挿入の理由は,短腸7例,栄養療法目的が3例,術後栄養管理目的が1例であった.血栓性静脈炎を3例に認めた.抗血栓薬投与は9例に行い,3例は血栓の器質化やDICのため抗血栓薬による治療を行わず,1例は他院加療で詳細が不明であった.抗血栓薬投与9例中8例で造影CT,超音波検査を用いて評価し,血栓消失が4例,血栓部の狭窄・閉塞側副血行路の増生が3例,血栓残存が1例あり,観察終了時5例で抗血栓薬を継続していた.非投与群では血管閉塞・器質化2例,血栓残存1例(血栓診断時DICのため)であった.観察終了時13例中,CVC継続が6例あり,死亡が2例あった.死亡の2例はCVC感染を伴い,1例では左房内血栓からの頭蓋内塞栓,出血,多臓器不全と血栓が関与した.【結語】クローン病の血栓症合併はカテーテル挿入症例に多く,感染を契機に重篤となる場合もあるため,本症の早期診断,血栓溶解薬の早期開始が必要と考えられる. |
索引用語 |