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大腸 IBD 2

タイトル PL-035:

クローン病患者における血清マトリックスメタロプロテアーゼ-3(MMP-3)の臨床的意義

演者 川島 耕作(島根大学内科学第二)
共同演者 石原 俊治(島根大学内科学第二), 園山 浩紀(島根大学内科学第二), 多田 育賢(島根大学内科学第二), 岡 明彦(島根大学内科学第二), 楠 龍策(島根大学内科学第二), 福庭 暢彦(島根大学内科学第二), 大嶋 直樹(島根大学内科学第二), 結城 崇史(島根大学付属病院・光学医療診療部), 木下 芳一(島根大学内科学第二)
抄録 【目的】クローン病患者の腸管炎症局所でマトリックスメタロプロテアーゼ-3(MMP-3)の発現亢進が報告されているが,血清MMP-3濃度に関する詳細な検討は行われていない.今回クローン病患者における血清MMP-3の臨床的意義を検討した.【方法】2011年11月以降,血清MMP-3,高感度CRPの同時測定が可能であったクローン病患者を対象とした.人工肛門造設患者,他の自己免疫疾患を合併している患者は除外とした.血液検査と同日にクローン病活動性指数(CDAI),内視鏡施行時にはクローン病単純内視鏡スコア(SES-CD)を算出し,比較検討を行った.血清MMP-3の基準値は,男性121ng/ml以下,女性59.7ng/ml以下とした.【結果】男性38人(37.26±7.08歳),女性15人(39.53±10.91歳)が対象となり,血液検査は男性で181回(4.76回/人),女性で67回(4.47回/人)行われた.血清MMP-3は男性平均90.23±36.03ng/ml,女性平均53.96±34.92ng/mlであり,基準値以下のMMP-3正常群は195回,MMP-3高値群は53回であった.CRPはMMP-3正常群0.44±0.87mg/dl,MMP-3高値群0.76±1.61mg/dlであり,有意な差を認めなかった.CDAIはMMP-3正常群93.14±63.47,MMP-3高値群173.26±100.83であり,MMP-3高値群で有意に高値であった(P<0.001).内視鏡は合計43回施行されており,SES-CDはMMP-3正常群6.93±6.61,MMP-3高値群12.1±44.78であり,MMP-3高値群で有意に高値であった(P=0.005).血清MMP-3とCRPでは,有意な相関は認めなかった.血清MMP-3とCDAIの相関係数は0.291(P<0.001)であり,CRPとCDAIの相関係数0.268よりやや高値であった.血清MMP-3とSES-CDの相関係数は0.436(P=0.011)と有意な相関を認め,CRPとSES-CDの相関係数0.392よりやや高値であった.【結論】血清MMP-3は,クローン病の疾患活動性,内視鏡的重症度のマーカーになる可能性があると思われた.
索引用語