セッション情報 | プレナリー セッション大腸 IBD 2 |
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タイトル | PL-036:クローン病の病態形成における骨髄由来fibrocytesの関与 |
演者 | 佐塚 小百合(千葉大学大学院医学研究院消化器・腎臓内科学) |
共同演者 | 勝野 達郎(千葉大学大学院医学研究院消化器・腎臓内科学), 中川 倫夫(千葉大学大学院医学研究院消化器・腎臓内科学), 齊藤 景子(千葉大学大学院医学研究院消化器・腎臓内科学), 丸岡 大介(千葉大学大学院医学研究院消化器・腎臓内科学), 松村 倫明(千葉大学大学院医学研究院消化器・腎臓内科学), 新井 誠人(千葉大学大学院医学研究院消化器・腎臓内科学), 横須賀 收(千葉大学大学院医学研究院消化器・腎臓内科学) |
抄録 | [目的]クローン病(CD)の病態は,腸管壁の炎症に高度の線維化が附随する点が特徴である.そこで,骨髄由来の臓器線維化細胞群として注目されつつあるfibrocytesに注目し,CDの病態形成への関与を検討した.[方法]1.CD患者の手術検体から健常,炎症,瘻孔の各部位を採取し,LSP-1(白血球マーカー)とcollagen type1(Col-1)による二重染色を行い,各部位のfibrocytesの割合(fibrocytes/LSP-1陽性細胞)を比較した.2.FACS解析を用いて,CD患者と健常人の末梢血fibrocytes数を比較した.さらに,fibrocytes表面のCXCR4,ICAM1の発現を比較した.3.既報に従ってCD患者と健常人の末梢血中のCD14+monocyteを14日間培養し成熟fibrocytesを得,各種toll-like receptor ligandsで12時間刺激し,TNFα,Col-1,MMP9のmRNAの発現をqPCRで解析した.[結果]1.炎症部では健常部と比較して有意にfibrocytesの割合は増加していた(健常部2.5%,炎症部22.2% P<0.01)が,瘻孔部では増加は認めなかった(2.2% P=0.87).fibrocytesは炎症期に組織中に誘導され,治癒期にはmyofibroblastなどに分化したものと考えられた.2.末梢血中のfibrocytes数はCD患者において有意に増加を認めた(P<0.01).Fibrocytes上のICAM1発現はCD患者で有意に増加していたが,CXCR4は差を認めなかった(それぞれP<0.01,P=0.11).CD患者ではT cell誘導能が亢進していることが示唆された.3.成熟fibrocytesはLPSの刺激により著明にTNFαとCol-1の発現が亢進した(17.0±5.7倍 P=0.015,12.8±5.7倍 P=0.019).成熟fibrocytesは腸内細菌成分の刺激を直接受け,CDの病態における炎症と線維化の双方に関与することが示唆された.[結論]本研究により,fibrocytesは,単一の細胞群でCDの炎症増悪と線維化増悪の両病態形成に関与している可能性が示唆され,炎症から線維化に至るCDの病態を牽引する特異な新規細胞群であると考えられた. |
索引用語 |