セッション情報 プレナリー セッション

大腸 IBD 2

タイトル PL-037:

小腸虚血再灌流傷害におけるBTB and CNC homolog1(Bach1)を介した炎症制御

演者 堅田 和弘(京都府立医科大学消化器内科学)
共同演者 内藤 裕二(京都府立医科大学消化器内科学), 高木 智久(京都府立医科大学消化器内科学), 飯田 貴弥(京都府立医科大学消化器内科学), 水島 かつら(京都府立医科大学消化器内科学), 鎌田 和浩(京都府立医科大学消化器内科学), 内山 和彦(京都府立医科大学消化器内科学), 石川 剛(京都府立医科大学消化器内科学), 半田 修(京都府立医科大学消化器内科学), 小西 秀幸(京都府立医科大学消化器内科学), 八木 信明(京都府立医科大学消化器内科学), 市川 寛(同志社大学生命医科学部医生命システム学科), 武藤 哲彦(東北大学大学院医学研究科生物化学分野), 五十嵐 和彦(東北大学大学院医学研究科生物化学分野), 吉川 敏一(京都府立医科大学消化器内科学)
抄録 【背景】小腸虚血再灌流傷害は酸化ストレスによる炎症と白血球の動員を特徴としている.ヘムオキシゲナーゼ(HO)-1やHO-1によるヘムの分解産物である一酸化炭素(CO)は様々なモデルにおいて抗炎症効果を示すこと,HO-1を転写調整するBach1が酸化ストレスや炎症性サイトカインなどによる障害の制御に関わっていることが報告されている.小腸虚血再灌流傷害におけるBach1による炎症制御機構については未だ不明な点が多く,今回Bach1欠損マウスを用いて検討した.【方法】野生(WT)型およびBach1欠損マウスを用いて上腸間膜動脈を45分間クランプ後再灌流し小腸虚血再灌流傷害モデルを作成した.4時間後に小腸を取り出し,粘膜中のTNF-alpha・KC(ELISA),HO-1(Western blot)を検討した.好中球浸潤の指標であるMPO活性,ICAM1やE-selectinなど接着分子の発現についても検討した.腸管膜より血管内皮細胞を初期培養し好中球-血管内皮細胞相互作用について検討した.【結果】Bach1欠損マウスではHO-1蛋白の発現は,WTマウスと比較し有意に亢進していた.TNF-alpha,KCなどの炎症マーカー,ICAM-1,E-selectinなどの接着分子の発現,およびMPO活性はWTマウスの虚血再灌流傷害の小腸粘膜では有意に亢進していたが,Bach1欠損マウスでは有意に抑制されていた.Bach1欠損マウスから初期培養した血管内皮細胞では,WTマウスと比較し好中球の接着が有意に抑制されていた.【結論】Bach1遺伝子は小腸虚血再灌流傷害の炎症制御に関わっており,Bach1遺伝子が虚血再灌流傷害における治療標的分子となる可能性が示唆された.
索引用語