共同演者 |
鈴木 文孝(虎の門病院肝臓センター), 福島 泰斗(虎の門病院肝臓センター), 瀬古 裕也(虎の門病院肝臓センター), 田中 未央(虎の門病院肝臓センター), 川村 祐介(虎の門病院肝臓センター), 瀬崎 ひとみ(虎の門病院肝臓センター), 保坂 哲也(虎の門病院肝臓センター), 芥田 憲夫(虎の門病院肝臓センター), 小林 正宏(虎の門病院肝臓センター), 齋藤 聡(虎の門病院肝臓センター), 鈴木 義之(虎の門病院肝臓センター), 荒瀬 康司(虎の門病院肝臓センター), 池田 健次(虎の門病院肝臓センター), 小林 万利子(虎の門病院肝臓研究室), 熊田 博光(虎の門病院肝臓センター) |
抄録 |
【目的】B型肝疾患に対する核酸アナログ(NA)療法の有効性は広く知られており,経過観察期間が長くなるにつれHBs抗原の消失が得られる症例も散見される.今回我々は,Entecavir(ETV)投与によるHBs抗原消失例の検討を行った.【方法】2004年3月から当院でETV投与しているB型慢性肝疾患患者のうち,内服期間が半年未満,免疫抑制・化学療法によるB型肝炎再活性化予防目的に投与された患者を除外した702例(A群:NA初回治療例481例,B群:他のNAからの切り替え例221例)を対象とし,HBs抗原量をCLIA法で定量した.【結果】A群/B群のETV投与開始時の患者背景は,投与期間中央値:2.9/3.8年,年齢中央値:48/49歳,男性:67/77%,HBe抗原陽性:47/33%,HBs抗原量中央値:2000/1030IU/ml,HBVDNA中央値:6.5/2.6log copies/ml,genotype(A/B/C):(3/14/77)/(2/10/83)%,家族歴あり:68/64%,IFN治療歴あり:20/51%であった.ETV開始後にHBs抗原消失をA群4例,B群6例の計10例認め,ETV投与開始時年齢中央値:54歳,男性9例,ALT中央値:28IU/l,HBe抗原陽性2例,HBs抗原量中央値:5.7IU/ml,HBVDNA中央値:2.6log copies/ml,genotype(B/C/不詳):1/7/2例,家族歴あり9例,IFN治療歴あり3例であった.またA群,B群合わせたNA開始時は,ALT中央値:239IU/l,HBe抗原陽性2例,HBs抗原量中央値:31.3IU/ml,HBVDNA中央値:4.5log copies/mlであった.HBs抗原陰性化に寄与する因子について多変量解析を行ったところETV投与開始時のHBs抗原量<100IU/ml(p=0.013),HBVDNA<2.6log copies/ml(p=0.004)であった.A群のHBs抗原累積陰性化率は,1年:0.0%,3年:0.4%,5年:2.1%であった.B群において,NA開始/ETV開始からのHBs抗原累積陰性化率は,1年:0.0/0.0%,3年:0.0/1.4%,5年:0.5/2.0%であった.【結論】ETV投与後のHBs抗原消失例は,治療の長期化とともに増加している. |