セッション情報 プレナリー セッション

ウイルス肝炎

タイトル PL-043:

肝硬度による肝線維化,発癌リスク評価

演者 辰巳 明久(山梨大学第一内科)
共同演者 進藤 邦明(山梨大学第一内科), 田中 佳祐(山梨大学第一内科), 津久井 雄也(山梨大学第一内科), 佐藤 光明(山梨大学第一内科), 三浦 美香(山梨大学第一内科), 中山 康弘(山梨大学第一内科), 井上 泰輔(山梨大学第一内科), 前川 伸哉(山梨大学第一内科), 坂本 穣(山梨大学第一内科), 榎本 信幸(山梨大学第一内科)
抄録 【背景・目的】従来,肝線維化の診断による肝発癌リスク評価は肝生検にて行なわれてきたが,侵襲的でありスクリーニング検査としては行い難い.Transient Elastographyは肝線維化の程度を肝硬度(kPa)として非侵襲的に測定することができる.肝硬度測定が慢性肝疾患患者の肝発癌予測に有用であるかを評価するため,肝硬度を用い,HCC群と非HCC群にて比較を行った.【対象と方法】対象は2010年1月-2012年8月に当科受診した慢性肝疾患患者で肝硬度測定を行った1110例.肝硬度の測定はFibroScan(ECHOSENS,Paris,France)を用いて測定した.分別能の評価にはROC解析を用いた.【結果】HCC群は330例(HBV:35例,HCV:229例,NBNC 66例),非HCC群は780例(HBV:73例,HCV:579例,NBNC 128例)であった.肝硬度はHCC群25.3±17.2kPa,非HCC群11.0±9.9kPaで有意にHCC群が高値であった.正常被験者では5.2±1.9kPaであった.肝硬度における分別能をROCにて解析したところAUCは0.818と高い分別能が得られた.C型肝炎例808例に限定して行ったところAUCは0.865とさらに分別能が高まった.肝硬度のCut off値を12.0kPaに設定したところ,それぞれ,感度78.8%,特異度75.7%,感度84.6%,特異度76.4%であった.B型肝炎例108例にてもAUS 0.808と良好な分別能が得られ,Cut off 8.8kPaとすると,感度64.7%,特異度81.7%であった.非B非C慢性肝炎患者194例においては,AUC 0.692と分別能が不良であったが,男性117例,女性77例にわけて検討した場合,女性にのみ限定すると,AUC 0.740と分別能が良好となった.C型肝炎に関してはさらに分別能が高く,B型肝炎患者においても有用であり,比較的肝硬度が低い患者にても肝発癌がみられた.また肝発癌高リスク群の囲い込みが困難である非B非C慢性肝炎においても,女性に限ると分別能が良好であった.Fibro Scanによる肝硬度測定は肝発癌リスク評価に有用であると考えられた.
索引用語