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NAFLD

タイトル PL-045:

インクレチン製剤は非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)の早期改善に有効である

演者 大木 隆正(三井記念病院消化器内科)
共同演者 五十川 陽洋(三井記念病院糖尿病代謝内科), 戸田 信夫(三井記念病院消化器内科)
抄録 【背景】非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)に対する治療はいまだ確立されていない.我々は,DMを合併したNAFLD患者に対するインクレチン製剤の経時的な改善効果について,従来使用されてきたピオグリタゾンを比較対象として検討を行った.【方法】2003年4月から2012年2月まで,当院においてフォロー中のDM合併NAFLD患者99例を対象とし,それぞれインクレチン製剤(Inc)使用群,ピオグリタゾン(Pio)使用群の2群に分け検討を行った.両群の薬剤導入時の患者背景,血液検査所見を比較するとともに,最終フォローアップ時の体重,ALT,肝線維化マーカー(APRI)の改善度合いを比較検討した.また,ALTの累積正常化率に関してカプランマイヤー法を用いて比較検討した.ALTの累積正常化率に関わる因子に関しては,Cox比例ハザードを用いた単・多変量解析で検討を行った.【結果】Inc群は80例,Pio群は19例であった.観察終了時点で,ALT,空腹時血糖,HbA1c,APRIは両群で有意に改善した.しかしながら体重に関しては,Inc群で有意に減少したが(79.7 kgから77.7kg,P<0.01),Pio群では逆に有意に増加した(78.5kgから82.0kg,P<0.01).ALTの累積正常化率は,Inc群(250日:18.2%,500日:37.7%),Pio群(250日:15.8%,500日:21.8%)であり,Inc群の方がより早期に改善を認めた(P=0.04).多変量解析では,Incの使用(OR 0.31,P=0.04),高血圧の存在(OR 2.53,P=0.01),脂質代謝異常の存在(OR 3.16,P<0.01),5%以上の体重減量有り(OR 0.31,P<0.01)が,ALTの累積正常化率に関わる独立した因子として抽出された.【結論】Incの投与はDM合併NAFLD患者のALT値を早期に改善させるだけでなく,Pioと比較して有意に体重を減少させる効果があった.また,高血圧,脂質代謝異の存在は,ALT値の早期改善の妨げになることがわかった.Incの投与は,NAFLDの直接的な改善効果だけでなく,減量という観点からも有効である可能性が示唆された.
索引用語