セッション情報 プレナリー セッション

NAFLD

タイトル PL-047:

NAFLDにおける内臓脂肪組織の酸化ストレスとB細胞活性化因子(BAFF)との関連

演者 多田 藤政(愛媛大学大学院先端病態制御内科学)
共同演者 川崎 敬太郎(愛媛大学大学院先端病態制御内科学), 阿部 雅則(愛媛大学大学院地域医療学), 三宅 映己(愛媛大学大学院先端病態制御内科学), 日浅 陽一(愛媛大学大学院先端病態制御内科学), 松浦 文三(愛媛大学大学院地域生活習慣病・内分泌学), 恩地 森一(愛媛大学大学院先端病態制御内科学)
抄録 【背景】演者らは,NAFLDマウスモデルとNASH患者において,血清BAFF濃度が上昇していることを報告した.また,内臓脂肪組織からBAFFが分泌されアディポカインとして機能していることを示した.しかし,内臓脂肪組織にBAFF発現を誘導する因子は分かっていない.今回,脂肪細胞におけるBAFF発現誘導機序を解析した.【方法】1)3T3-L1細胞にTNF-α,IFN-γ,脂肪酸,LPS,H2O2を負荷し,BAFF発現をreal time RT-PCRで解析した.また,抗酸化剤であるNACを添加し,BAFF発現の変化を観察した.2)C57BL/6マウスに高脂肪食(NAFLDマウス)を与え,酸化ストレスの指標である血清MDAとBAFF濃度の関連を解析した.またNAFLDマウスにNACを投与し内臓脂肪組織,肝臓,筋肉における免疫染色による8-OHdG陽性細胞数とBAFF発現について解析した.3)3T3-L1細胞にNAC存在下あるいは非存在下にH2O2を添加し,核内NF-κBの活性を解析した.【成績】1)培養脂肪細胞では,H2O2負荷によりBAFF発現が亢進したが,他の刺激では変化がなかった.また,NAC添加によりBAFF発現亢進は抑制された.2)NAFLDマウスでは血清BAFF濃度の上昇がみられ,BAFF濃度はMDA濃度と相関していた.3)NAFLDマウスの内臓脂肪組織では8-OHdG陽性細胞が増加していたが,他臓器ではコントロールと差がなかった.また,NAFLDマウスの内臓脂肪組織のBAFF発現はNAC投与によりコントロールと同程度となった.4)3T3-L1細胞にH2O2を添加するとNF-κBが活性化したが,NAC添加によりNF-κBの活性化が抑制された.また,NF-κB inhibitorペプチドの添加によりBAFF発現増強が抑制された.【結果】NAFLDで血清中に増加するBAFFは,内臓脂肪組織での酸化ストレスにより誘導される.脂肪細胞における酸化ストレスを介したBAFF発現増強の制御がNAFLDへの治療応用の標的となりうると考えられた.
索引用語